コンプライアンスの詩 四題
多くの不祥事は、内部告発から発現します。
「小さな嘘の種」が発芽して、表に出て嘘の華を咲かせます。
「小さな嘘の種」の時に、上司に話すと、ほとんどがうやむやにされます。
「まあ、よかさ」「納期も無いしな」「安全には問題ないよ」等々。
そして、内部告発者は?
コンプライアンスの詩 四題
作 葉月太一
一、「コンプライアンスの衣を身に着けよう!」
二、「小さな嘘の種」
三、「3652日前の夜10時過ぎでした」
四、「内部告発者は、、、」
一、コンプライアンスの衣を身に着けよう!
「コンプライアンスを着てしまえ!」って
言われたけど、、、
コンプライアンスって、何なの?
コンプライアンス?、、、それはね、、、
難しい言葉でいうと、
「法令(等)遵守」らしいよ
ここで(等)がややこしいんだね、、、
やさしい言葉で言うと
何でも決まり事や約束を守れって事なんだって
ふーん、当たり前の事じゃない
なんで、コンプライアンスなんて
難しいこと言うんだろう?
「コンプライアンスを着てしまえ!」
コンプライアンスを身に着けたら
何か、もやもやが消えました
さっきまであったギクシャクしたものが
スーッと消えてしまいました
そして、
「普通のことなんだね」
「シャチコバラなくて良いんだよね」
コンプライアンスを身に着けたら
ちょっぴり勉学心が出てきました
「知らなかった」では済まされない事が多いんだ
社会人として、企業人として
コンプライアンスを身に着けたら
変に片意地を張らずに
まるで呼吸をするように
コンプライアンスを身に着けることによって
どこででも自然体に戻れました
ピュアで、誠実でそしてやさしい
コンプライアンスを
着てしまいました!
あれだけ自然体で、正直になるって言ったはずなのに、
なぜ苦しむの?
貴女は、コンプライアンスの羽衣を着ているのよ!
、、、、、、隠さずに、正直に。
二、「小さな嘘の種」
日々の仕事の時に
たとえば寸法取りの時に
「まあ、これぐらいの差はよかさ」
たとえば塗装仕上の不出来に気づいても
「客は分からんさ」「よか、よか」
はたまた検査から駄目出しが出ても
「急ぐからしょうがないやろう!」
「予算も無いし」等々
この様なこと
時々、あるいは稀にありませんでしたか?
まれでもあってはいけませんね
でも、こんな話も出てきますね
「やり直したら原価が上がるんですけど、、、」
「納期もいいんですか?」
そんな時は、いつもハラハラしてたでしょう
言うべきか、言わざるべきか、
そして、あれで良かったんだろうか?
普通に正直であればよかったのに
でも、、、
あれで良かったんだろうか?
いいわけがない!
眠られない夜もあったでしょう
気になって気になって
眠れない時もあったでしょう
もうそんなことは、、、もうやめましょう
それは、小さな嘘の種だから
嘘の種って
聞いたことありますか?
外面は繕っても
嘘の種は時間がたつにつれて
どんどん育って行くんです
そして嘘の芽を出して
嘘の華を咲かせるんです
嘘の華は
大きくなって表に出たときは
あなたは、大きな罰を受けるのです
そうだ、これからは
間違ったら絶対に取り繕わずに
直ぐに謝るんだ
直ぐに正直に伝えるんだ
自分にも、そして上司にも
そう、上司の嘘の種も
直ぐに表に出すんだ
その日のうちに
そうすれば、きっと、
心と身体の健康を守れるぞ!
あれだけ自然体で、正直になるって言ったはずなのに、
なぜ苦しむの?
貴女は、コンプライアンスの羽衣を着ているのよ!
、、、、、、隠さずに、正直に。
でも、上司がもみ消したらどうしよう。
「よかさ、よかさ」「つべこべいわっずに黙ってやれ」
そうだ、ヘルプラインを活用しよう。
「上司の悪事をチクりました」
もう、いやんなっちゃいました
何でも素直にミスを言い出したら
出るわ、出るわ、わんさと出るわ
最初の頃上司は、
あんな大手みたいな事してはいけないよな
勿論データー改竄はもってのほかだよな
喜んでいたのに
最近は機嫌が悪い
指摘が出過ぎるからだ
そして、今まで何事もなかったように
上司は改ざんしていたんだ!
三、「3652日前の夜10時過ぎでした」
そう、10年前の12月16日夜10時頃
「まあ、よかさ。気にするな」
客には納期、会社には利益目標
それくらいの誤差は品質に影響しない
これくらいなら安全に問題ない
そう言い切って、ゴーさせた
間違いなくやり直しをさせたら
暮れも正月も無くなる
無くなるだけでなく
間違いなく納期を破る!
納期だけでなく、
原価は倍になる!
データーはあとで書き直しておけばいい。
なぜ、そう思うようになったんだろう
その一年前、環境部門に在籍していた時
やはり工期で大苦労していた
ごみ焼却プラントは
どれもこれも工期割れで苦労していた
挙句の果て煤煙データーがよくない
有害物質の除去率が悪い
ある日、データーの手直しを耳にした
捏造、改ざんの意識はうすかった
不本意ではあったが
契約不履行になりかけ、
ペナ金が高額だったので、
データーの「手直し」をした
後日発覚したが、
始末書だけで済んだ
客は言った
納期が一番心配だった
しかしこうも言った
煤煙データーの改ざんは信じられない
こんなことをしてたら、
いつか、しっぺ返しを食らいますよ、と
でも、その後は
なにごともなかった
なにごともおこらなかった
あの時から、
これくらいなら安全に問題ないと
思うようになったのだろう
あれから10年、
素材部門がデーター改ざんした材料を
使ってる会社は?
出るは出るはどんどん出るは
いもずる式にどんどん出て
6000社以上
海外でも200社
従業員は隠蔽、管理職は黙認、
しかしまだどこかにある、
素直でない気持ちが
隠ぺいも黙認も
真摯に反省しようと思えない
何故って
一気に是正しようものなら、
影響が大きすぎるし
具体的な問題は確認されていない
問題があれば、リコールする覚悟だ
それにしても
3652日前の夜10時過ぎに
小さな嘘の種が
ひとつぶ、
工場の片隅に落ちていたんだな
四、「内部告発者は、、、」
パワハラを受け
結局は退職に追い込まれました
何のための制度なんだ!
何のための法律なんだ!
患者さんの麻酔を
無資格の歯科医師が
「全身麻酔」を打ち続けていたのに
麻酔科医の指導もなく
「全身麻酔」が行われていた事実!
言わなきゃよかった、のか
通報しなけりゃ良かった、のか
「公益通報者保護法」も
知らなきゃよかった、のか
病院長に状況を訴えたら
患者のためを思って訴えたのに
患者ファーストを
いつも口にしている病院長に訴えたのに
パワハラを受けた
月に11件から20件あった手術の担当が
全くなくなった
ゼロ件!
突然の如く
全くなくなった
ゼロ件!
間違いなく誰かの意図だ
院長でなかったら
外科部長の忖度か?
患者の事を思って訴えたのに
いつかは患者が犠牲になる
未然に防ぐため訴えたのに
、、、、、退職を余儀なくされた!
このままで済ますわけにはいかない
「公益通報者保護法」があるさ、
あちこち駆けずり回って
やっと、厚生労働省にたどり着いた
ところが、受付も後日の通知も
見事に、冷たいものだった
曰く、
「貴方は、通報時点で労働者ではない」
「貴方は、この法律の適用は受けられない」
言わなきゃよかった、のか
通報しなけりゃ良かった、のか
そうだ、忖度ばやりの役人に訴えるよりも
マスコミに訴えるのがいい!
マスコミに訴えて
「不祥事」沙汰にするのがいい!
コンプライアンス違反者は
社会的制裁を受けるべきだ!
通報は、一年に4000件ぐらいあるらしい
ある有識者は、この数は氷山の一角という
恐ろしい事だ
沢山の人がいじめを受けたり
仕事を与えられず、
パワハラを受けたり
鬱病に
追い込まれたりしているのだろうか
そして
、、退職を余儀なくされているのだろうか!
言わなきゃよかった、のか
通報しなけりゃ良かった、のか
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「小さな嘘の種」は4年前に書きましたが、今騒がれている、大手製造メーカーの何社かでは、
10年ぐらい前から、「小さな嘘の種」が工場内のあちらこちらに落とされていたのでしょうか?