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━ギルドホール━



俺は何とか心を落ち着かせながらお嬢様の元に戻って行った。

「お嬢様手続きが終了しました。」

「あら!そう、ゴン悪いけど手続きを1部修正してもらって来てちょうだい。今回のクエストはこちらの方々と一緒に行います。」


俺は想像通りの答えを聞いて溜め息をつきそうになりながらお嬢様と歓談されている方々に声を掛けた。


「お初にお目に掛かります、私はメアリーお嬢様の戦闘奴隷をさせて頂いておりますゴーンと申します。手続きの都合もございますので出来ますればお名前をお伺いしても宜しいでしょうか。」

俺は馴れぬ敬語を必死で使い目の前の少女達に話し掛けた。


「あっはい!私はサンドラ、隣に居るのがレミィとアメリアです。私達今年商業学校を卒業し商業ギルドに就職が内定したんです。ただ商業ギルドの方から卒業迄に冒険者ギルドの資格も取っておくようにと指示がありまして、」

「でも今迄に冒険者の方との知り合いもいなくて、どうしようかと悩んでいたらメアリー様がご親切にお声を掛けて下されたのです。」

「御迷惑かと思いますが宜しくお願いします。」


・・・それって他のギルドへの顔見せじゃん。

資格取るも何も学生さんなら受付行って挨拶するだけでオッケーでしょうが。

一応そういった人の為のクエストだってギルドでは用意してあるばずだし、町の清掃とか・・・


「いえいえ何を仰います、私はしがない戦闘奴隷に過ぎません。主の決めた事に否と唱えることは御座いません。」

ですから恨むなら私じゃなくお嬢様を恨んで下さいね、

お嬢様のあの目は完全に獲物をロックオンした目です。

今回の狩の獲物はコボルトからたぶん皆様に変更されていらっしゃいますから、間違っても口には出せないけど・・・


私は手続きを変更して来る旨を断りその場を後にした。



━お屋敷執事部屋━


午後


生け贄もとい商業ギルドのお嬢さん達と一旦分かれ明日王都西門での再会を約束してお嬢様と俺はお屋敷に戻った。

その後さすがに寝不足の為かお昼寝に入ったお嬢様を尻目に俺は執事殿から懇々と説教をされ続け今に至る。

「聞いているのかゴーン!大体貴様は・・・・・・」

悪い人ではないんだがな〜やはり年かな〜・・・


その後も延々と説教は続きそろそろ日が傾き掛けた頃部屋のドアがノックされた。

「失礼致します。」

そう言って部屋の中にメイド長が入って来て執事殿の耳にそっと耳打ちした。

それを聞いた執事殿はウムと頷きメイド長を下がらせた。

「今あの生け贄・・・じゃなく3人のお嬢さん方の裏を洗わせたがこれと云って怪しい所は無かった。」

「つまりただの被害者と云う事ですか?」

「そうじゃな、まぁこれも・・・コリァッ失礼な事を申すでない!あくまでお嬢様の狩に同行されるだけじゃ。」

あくまでと云うよりお嬢様が飽きる迄の様な気がするがこれ以上余計な事は云うまい。

俺が心の中で3人の少女の冥福を祈ってると執事殿が、

「兎に角じや今回の遠征にはワシとメイド長も付いていく。馭者一人ではどうにもならん、今回はお前にも馭者をやってもらう。」

「了解しました。」

俺の言葉に満足したのか執事殿は行ってヨシとやっと言ってくれた。

執事殿の部屋を出た俺は明日の事を考えて馭者のバンディットさんの所に向かった。


━奴隷長屋食堂━


午後


「あぁい居た居た、バンさんお疲れ様です。」

「お〜ゴンちゃん、その様子だと爺さんにこってり絞られたみたいだな。」

「そりゃあもう・・・」

「ご苦労さんご苦労さんゴンちゃん飯は?」

そう聞いてくるバンさんに対して俺は首を振って答えた。

「朝食った切りです。食える訳ないでしょ、本当に今迄説教だったんですから」

情けなさそうに俺が答えるとバンさんは悪い悪いと言いながら俺にパンを放り投げた。

俺は頭を下げながら受け取ったパンにかじりついた。


「所で俺に用かい?」

バンさんの問いに

「ええ、今回は人数が多いので俺も馭者を遣るように言われました。」


「あ〜そいつはご苦労さん、んで目的地と人数は?」

先程迄笑ってたバンさんの目が真剣に代わった。

「はい、目的地は西の湖畔の別荘地、人数はバンさんを入れて8人です。」

「分かった後はこっちでやっとくからゴンちゃんはそれ食ったら寝ちまいな、ゴンちゃん昨日から録に寝てないだろ。」

そう言うとバンさんは馬車の仕度をして来ると言って食堂を出ていった。

俺はパン1つじゃ我慢出来そうもなかったのて食堂の中を漁り幾つかの食料を確保すると自分の部屋に戻った。




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