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━迷宮都市━



今日から俺はこの迷宮都市で冒険者として狩に勤しむらしい。

何故ならお嬢様がそう仰られたからだ。


━お屋敷━


昨夜


「ゴン、明日から迷宮に潜ります。」


昨日お嬢様の御食事の最中唐突に言われた言葉に俺はトレイを落とし、メイドは絨毯につまずいてコケた。

お側に立っていた執事殿はお嬢様を睨み付けたが、お嬢様はまったく気にする素振りも見せずにこう仰られた。

「自分の領地を視察するのにまさか文句は在るまいなぁ爺。」

お嬢様の言葉を聞いた執事殿は、では警護の騎士をつけましょうと仰られた。


俺の頭の中には歯を光らせているマックス隊長の顔が浮かんだ。


「不要です、今回はお忍びで行動します。着いてくるのはゴン1人で良いわ。」

そう言うとお嬢様は御食事を終えられてお部屋にお戻りになられました。

俺はお忍びじゃない時がこの後在るのかを思いお食事を片付けた。


━冒険者ギルド━



迷宮都市の内部に繋がる門の所には冒険者ギルドの支部が建っている。


お嬢様と俺は迷宮都市に入る前にギルドに立ち寄った。


「ようこそいらっしゃいました、辺境伯。」

頭を下げるギルド支部長に、お嬢様は優しげな笑顔で本日はお忍びゆえ構わずとも良い、勝手に見学させて貰う旨を伝えた。

お嬢様の答えに支部長は頭を下げた。

「では何か在りましたら受付の方にお申し出下さい」

そう言うとその場を離れていった。

支部長が側を離れるとお嬢様は、つかつかと歩いて依頼表を見に行った。


俺もお嬢様の後に続いて依頼表を見てみると王都とは大分違う事が解った。

「成る程、王都と違い一つ一つの魔物に討伐依頼が出る訳でなく討伐した獲物の部位に対しての値段が張り出してあるのか・・・」

俺が一人で声に出して感想を言うと、隣に居た冒険者(おっさん)が話し掛けてきた。

「お前さん迷宮都市は初めてかい?」

その言葉に俺は軽く頷いた。

「そうかい、だったら此だけは覚えておきな。

基本迷宮都市の魔物は中に行くほど手強くなる。

一応外周に近い所にはヤバイ奴は少ないが、それでも時には中央付近にいる様な化物がフラフラしてる時がある。

迷宮の中じゃ常に四方に気を張っておく事だ。」

そう言うとおっさんは自分の仲間の所に戻って行った。

お嬢様は依頼表を一通り見終わると冒険者ギルドを出て迷宮の内門に向かった。


━内門━



門の前には幾人かの冒険者が入るのを待っていた。


この内門のむこう側は嘗ての死霊都市ここからが正真正銘の迷宮になる。


お嬢様と俺も冒険者の群の中に並んで門が開くのを待った。


城壁にいた、警備係が周囲に魔物がいなくなった事を確認すると内門を開けた。

開き始めた門の隙間から冒険者達が中に入って行く。

この門は基本全開迄開ける事はない。


そんな内門の間をお嬢様と共に入って行った。


━迷宮内部━



門を潜っった直後に城壁にいた兵隊が騒ぎ出した?

開くときはゆっくりと開いていった門が閉じるときにはあっとゆう間に閉まった。

"スゥゥゥン"


重々しい音が消えた頃、

此方に向かってのたうち回りながら迫って来る物体が見えた。

回りにいた冒険者達は各々武器を構えると話し出した。


「ありゃあ、蠢く死骸だ、取り合えず協力で良いか?」

一人目の冒険者が言った。

「取り分は頭割りで良いよな?」

二人目の冒険者が言った。

「取り合えず人数6人で奴隷無しって勘定で良いのか?」

三人目の冒険者が言った。

「よっしゃ、異論も無いようだし使える獲物の確認しよか?」

四人目の冒険者が言った。

「クックックッそんな暇在りませんわ、来ますよ。」

五人目の冒険者(おじょうさま)が言った。

「平和が良いな。」

六人目の元奴隷が言った。


講して即席パーティは最初の戦闘に入って行った。


俺がこの迷宮で最初に出会ったアンデットは何とも此方をうんざりさせる姿をしていた。

全長10メートル程、体高は2メートルの蠢く死骸。その身体は色んなアンデットが絡み合って出来ている。

正直こんなのどうやって処理するんだよ。

俺がその見た目だけでうんざりしてると、お嬢様が先頭を切って突っ込んで行った。

するとのたくっていた死骸の塊の1部分が分離してお嬢様に襲い掛かってきた。

お嬢様は突っ込んで来た複数の死骸を交わし銀の剣で斬り付けた。

他の冒険者達も各々の武器を持って同様に戦いだした。

俺はマジックバッグの中に手を突っ込んでこのイカれた化け物を倒せる武器を願った。

そして俺の手の中には1本の火炎瓶が握られていた。


こんなんで旨くいくのか判らないがやらないよりは増しだろうと俺は火炎瓶に火を点けて投げ付けた。

それを見た一人の冒険者が叫んだ 「ニイチャンそれ投げたらあか〜ん!」

そんな大声出されても、そう言うことは投げる前に言って欲しかった。

俺の手から火炎瓶が投げられたのを見た冒険者は一言

「逃げろ〜」

叫んだ。


皆がその声に反応して化け物から離れるのと同時に火炎瓶がが蠢く死骸にぶつかり凄まじい爆発を起こした。


俺はひっくり返って半ば気を失うっていたらしい。

近付いて来た冒険者に引き起こされながら文句を言われた。

「お前さん新人か?

ダメだよあの手の絡んだ死骸に火炎瓶なんか使っちゃ、回り見てみな。」

俺は言われた通りに回りを見回すと、至る所で火が燃えていた。

別の冒険者が火の中から一生懸命何かを取り出そうとしてる。

あれは魔宝石採ってるのかな〜などと呑気に見てると、

別の冒険者が近付いて来て、怒りながら言ったて来た。

「ニイチャンお前も拾うの手伝いな。

まったく死骸と一緒にお宝まで回りに散乱しちまって、もうこうなっちまうとこれだけで1日仕事になっちまうんだぞ。」

そうぶつぶつと文句を言いながらその冒険者は宝拾いに戻って行った。


宝拾いにが終わった後に聞いた話だが、あの手の絡み合った死骸を迂闊に燃やすと爆発するらしい。

ああ云う死体は武器等を使って分解して動けなくしてから聖水などで洗って魔宝石を取り除くのだそうだ。

当然何にも知らなかった俺は皆に謝りながら1日中宝拾いに明け暮れた。


俺を見るお嬢様の眼差しは、それは冷たいものだった。


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