第1章
知恵も権力もある立派な王様がいました。
その王様には、美しい一人の后がいました。
后は、美しい王女を産み美しい名前をつけるとやがて死んでしまいました。
悲しみにくれた王は早くに母親を亡くした王女に悲しい思いはさせたくはないと高い高い塔の上に王女を住まわせました。
ある日のこと幼い王女は外の世界が気になって王様に聞きました。
「偉大なる王_____私の尊敬するお父様、私はこの塔の外に出てみたいのです」
そういうと知恵も権力もある立派な王は言うのでした。
「いけない、いけない。今は、流行の病で外は危険だ。出てはいけないよ」
その言葉を聞いて姫は二年待ちました。
「偉大なる王_____私の尊敬するお父様、私はこの塔の外に出てみたいのです」
そういうと知恵も権力もある立派な王は言うのでした。
「いけない、いけない。今は、洪水で外は危険だ。出てはいけないよ」
その言葉を聞いて姫は三年待ちました。
「偉大なる王_____私の尊敬するお父様、私はこの塔の外に出てみたいのです」
そういうと知恵も権力もある立派な王は言うのでした。
「いけない、いけない。今は、飢饉で外は危険だ。出てはいけないよ」
王女は、がっくりと肩を落としました。
もう、王女は年頃の娘になって美しい金の髪と白い肌を持ったそれはそれは美しい立派な姫となっていました。王が、王女に外に出て欲しくないために嘘をついていることはもう知っていたのです。
高い高い塔で一人___王女は孤独でした。
母親である后がつけてくれた美しい名前も父王は忘れてしまっていたため誰も王女の名を呼ぶものはいませんでした。王女はいつも孤独で不幸でした。
ある日のこと_____王女は、結婚することになりました。
戦争があったのです。
戦争があったことも王女は知らず高い高い塔の上で一人住んでいたのです。
王は泣いています。
王女はどんなに慰めても悲しむ王を心配になって聞きました。
「偉大なる王_______私の尊敬するお父様、どうして悲しんでいるのですか?」
嘆く王は言いました。
「私が大切に高い高い塔の中で育てたお前が殺されてしまうからだよ」
王女は、首を傾げました。
「偉大なる王_______私の尊敬するお父様、どうして私は殺されてしまうのですか?」
なおも嘆く王は言いました。
「お前の結婚相手が竜だからだよ」
賢い王女は、驚いきました。まさか、自分が竜と結婚するとは思わなかったからです。