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1時間目- (2)



俺が驚いたのも部屋が意外な感じだったからだ。

俺は思わずきょろきょろと部屋を眺める。

カーテンで光を遮ってるこの部屋は昼間にも関わらず少し暗く、そのうす暗さが学園長室の異様な雰囲気を出してるようだ。

そのせいか、右左にあるただの本棚もよくわからない絵も長机も椅子も暗く怪しい感じがする。

The BOSS部屋って感じ。

そんなボス部屋の中央のボス専用っぽいチェアーに座っているのが俺がこの世界での第一人物であり、この学園の学園長であるじいさんだ。


「なあにボソッとつったんてんじゃい!今日はお前さんの大切な初出社日じゃろうが!」


「へいへい。覚えてるよ」


俺がテキトーに答えると、じいさんはより表情をムッとさせたが、はぁ〜っと怒鳴るのを我慢して話した。


「まぁそれはともかく。おまえさんのサポートをしてくれる副担任を紹介しようと思ってな」


「へー」


「ぐっ、そんな興味なさそうな顔をするでない。おまえには絶対必要なサポーターじゃ!」


まぁ、確かに俺は絶対に必要だな。


「それでは紹介しよう。こちらがお前さんの持つクラスの副担任じゃい」


とじいさんが後ろを見るとそこには青い制帽のような大きめの帽子を被り、服の襟のような部分で口元が隠れている人が立っていた。


「ミルニィ・エスティリーナです」

あれ?この声は……ってか、この人!」


「もしかしてさっき案内してくれた門番さんか?」


俺がそう訊くと、すぐに体を固くし右手をピシッとし敬礼をして答える。


「はい!先程は名前も名乗らず申し訳ありませんでした!」


「いやいや、俺が勝手に行ったのが悪いし」


「そんなことはありません!」


「てか、そう固くならないで、気楽に落ち着いて」


俺は一応今後の相棒となるミルニィさんに気を楽にするよう言いかけると、ミルニィは緊張気味に返事をした。


「そ、そうですね。あ!制帽も取らず申し訳ありません!」


やっぱりこの人まだ固いよな〜。


「だから気にしなくていいから、あははは」


はぁ〜。俺的に副担任はちょっぴり大人のお姉さんとかおませな少女が良かったな〜〜。

そもそも女の子が良かったなあぁぁああ〜〜〜……あ、ああ!?


「って、え……⁉︎」


今この瞬間、フラグって立てとくもんなんだな〜っと心から俺は思った。

え?なぜかって?そりゃあもうわかってるだろぉ〜。


「ど、どうかしましたか?」


帽子を取ってようやく表情が見えた門番の容姿は、驚くべきものだった。

帽子に隠れていた髪は長く濃い茶色。

顔立ちもキリッとしているが中々の美人。

渋谷や原宿なんかを歩けばすぐにスカウトされるだろう。

スタイルもさすが鍛え抜かれているだけあって引き締まっていてハンパない。

俺的評価は10点満点中8点以上はやれるな!余裕で!

まさかだったぜ……。

俺のサポーターである副担任が女子だったとはな!!


「あ、あの〜?」


「な、なんじぇも……ごっほんなんでもないよ」


ダメだ。女の子の前だと動揺してしまう。しかも美人さん。


「あ、あの、大丈夫ですか?」


心配そうに俺の顔を上目遣いで覗いてくるミルニィさん……やべえよその破壊力。

俺がぽけーっとしてるとじいさんが咳で場を戻した。


「ゲッホン!まぁとにかく、自己紹介も終わったことだからセイタの事を説明しようと思うのだがいいか?」


「…………セイタ!お前に訊いてるのじゃ!」


「え?何が?」


まったく話を聞いていなかった俺が思わずそう答えると、じいさんの顔がみるみるうちに怒りに満ち溢れてきた。


「…………一発斬りさばいていいかのお」


「す、すいませんでした。どうぞお話ください」


さすがのじいさんが本気でキレていないのはわかっていても今の殺気はやべえよ。普通に怖いよ。


「よかろう。では話すぞ」


そう言うとじいさんはゲッホンとまた咳をし続ける。


「ミルニィ君には申し訳ないが、これから言う事は他言無用でいいかのぉ」


ん?ちょっと待って。このじいさん何で日本の四字熟語知ってるんだよ。

いや、でもここに来てから全員日本語だったし、俺の脳が勝手に翻訳してそうなってるのか?

まぁ、面倒い事は後回でいっか。

御都合主義バンザーイ。


「はい!」


部屋に響く凛とした声で返事をする。


「ちょ、ミルニィ君。声が大きいわ」


「す、すいません」


「っで、本題に入るぞい。実はな……」


「ちょっと待ったじいさん!」


「次はなんじゃい!」


「べ、別にそれは言わなくてもいいんじゃないか?」


そう言うのも、彼女は階級6の俺に憧れている。にも関わらず事実を知ってしまったらショックを受けるんじゃないか。


「何となくお前さんが黙って考えてることは悟ったが、それは本心じゃないじゃろうが」


な、なに!?


「せっかく落ちそうになっているこの女子が事実を知ってしまったらぁあ!とか考えとるんじゃろ?」


「やめろおお!俺の本心さらけ出すなああ!!」


「ゲッホン。じゃが、こればかしは言わんと仕方ないじゃろ。諦めろ」


「……諦めてたまるかよッ!」


「台詞はかっこいいが状況がダサいぞい」


俺の叫びもあえなくじいさんに突っ込まれる。


「えっと」


頭にハテナ連発してるミルニィさんに気づいたじいさんは説明に戻る。

ちなみに俺は地面に手をつけ、くそおっと嘆いている。


「簡潔に言うぞ?」


「はい」


数秒、シーンと部屋が静まる。


「セイタは弱いのじゃ」


簡潔すぎじゃねえかあ⁉︎


「はい?」


ミルニィさんも首を傾げている。


「ちっと簡潔にしすぎたか……えーっとな。セイタは第六階級勇者教諭ではないのじゃ。本当は街人や農民、一般人と変わらぬ強さしか、いやそれ以下の雑魚なのじゃ」


おい言い過ぎだろ!じじい!

っと突っ込む前に横で。


「えぇぇえええ⁉︎」


というミルニィさんの叫び声が遮った。


「声が大きい!」


とじいさんが一括するとミルニィさんが慌てて口に手を抑える。


「せめてもの救いはこいつにワシの秘宝。リミティアフォースを貸してるからの、一般人よりは一応強い……はず」


貸してるを無駄に強調しているじいさんはこの際ほっとこう。

それよりもミニティさんの反応が問題だ。


「そ、そうだったんですか……」


落胆の表情を浮かべるミルニィさんはそう口にすると、じいさんに質問を投げかけた。


「し、しかし学園長、なんでこの人をそんな偽第六階級の教師として入れたのですか?」


その質問を聞いたじいさんは軽く頷くと、にやりと答えた。

てか、もうこの人呼ばわりかよ俺。


「ふむ……理由は2つ。1つはこやつの記憶が少し飛んでいるからじゃ、それを思い出す機会を与えるためじゃな」


そう俺にはこの世界に来て一つの問題にぶち当たった。

それは記憶を所々なくしていることだ。

まぁ、困るほど記憶が飛んでるわけでもないし、大丈夫だとは思うけどな。


「なるほど、そういうことだったのですか」


ふむふむと頷くミニティさん。

するとじいさんは続けて話し始める。


「そして、2つ目は」


俺は2つ目なんて聞いてねーぞ?

なんかあったか?


「…………まぁ、そのうちわかるわい。ふぁふぁふぁ」


じいさんはそう言い、にやにや笑う。


「なんだよもったいぶんなって」


「ふぁふぁふぁふぁふぁ」


「教えてくれよ」


「ふぁふぁふぁふぁふぁふぁふぁふぁ」


「その笑い方やめろ!」


「ふぁふぁふぁ?」


このじじい殴りてえ。





読みやすさを意識して書き方を変えてみました。



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