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1時間目- (1)

北側に存在する学園に着いた俺は、校門を潜り抜け学園内に入ろうとしていた。

「そこの若者!止まれ!」

「は?」

いきなりの威勢の良い声に思わず間抜けな声が出る。

声のした方である横奥には門番の教師らしき人物が仁王立ちのポーズで警戒態勢に入っていた。

「見かけない顔だな」

門番教師の格好は頭から足元まで頑丈そうな鎧に身を包んでおり、強そうだ。いや、門番を任されている以上強いのだろう。

「えっとー、それは」

と俺が言おうとする前に門番教師は尋ねてきた。

「名前は」

「セイタだけど」

着ている服が口元を隠していて門番教師の顔はわからないが、焦っているようだ。

「せ、セイタって、あなたが階級6のエリート。セイタ教諭兼任教官⁉︎」

急に大声で名前を叫ばれた俺はびくっと肩を震わせた。

「いや、教師用の制服を着てないし、第一、証明できるものはあるのですか⁉︎」

この人めんどくさいな〜。もういいじゃんかよ〜。

はぁと、ため息をつき、俺は答える。

「制服はまだ貰ってないだよ。それとこれ」

ほいっと俺は内ポケットから教師証明書のパスポート的なものを見せた。

これも全てじいさんが用意してくれたため、俺はまったくさっぱりわからん。

「な、なな、こ、これは本物……」

すっげえ慌てぶりだな。まるでアニメのキャラクターみたいだ。

さっきまでの威厳たっぷりな声は何処へやら。

まぁそれもそうか。

勇者とその教育をする勇者教師には階級があり、制服の右上についてある星で決まる。飛行機のパイロットさんなどの黄色のラインに似てる感じかな。

んで、それの7階級中での上から2番目に偉い称号を持つ者こそが俺なのだから。

そう6階級なのだ。

もちろん本当に6階級の力などなーいッ!



「この度はご無礼申し訳ありませんでしたッ!」

「いや大丈夫だって」

校内に入ってからずっとこの調子で謝り続けられ、これで40回目だ。

ちょっと盛ってるだろ!って思ってるだろ?

本当に40回目だ。正直、ちょっとだるくなってきている。

「ですが!」

「ですがもデスノー○でもないの。そんなことよりここについて詳しく教えてくれないか?」

ちょっと疑問を持ったように、隠れている頭が斜めに傾く。

「えーっと、一応どんな所かは聞いてるんだけど詳しくは知らないんだ」

「な、なるほど……」

俺の言葉を聞き、少し悩むように右手を顎に触れさせる。

「それでは私が案内します」

いやいや、別に案内までは求めてないんだけど……。

「でも、ここの見張りいなくなったら不味いんじゃ?」

と俺は嘘丸出しの心配をしてみたが、呆気なく無駄になった。

「いや、丁度交代の時間だったので、それに次の用事までは……まだ時間がありますし」

タイミング良すぎだろ。

「でもわざわざ申し訳ないよ」

「いえ、心配ご無用です」

心配してねーよ!

「いや、でも」

「あの6階級のお方を案内出来るだけで私は光栄です」

ダメだこりゃ。素直に案内してもらうしかなさそうだ。

まあ、俺も呼び出しまでに時間あるし、付き合うとするか〜。

「それじゃあ、お願いするよ」

「はいっ!」

俺の頼みに快く頷いてくれた門番教師の顔は未だに見えないが、嬉しそうに感じた。

…………BL展開だけは勘弁だぞ。


ハーレム展開希望。ハーレム展開希望。ハーレムハーレム。



その後は校内を隈なく門番教師の最短距離で案内され、大体把握した俺は庭のような場所にあるベンチに腰掛けた。

「短い時間でこんなに案内できるなんてすごいな」

「そんなことないですよ」

と言いながらも嬉しそうだ。

この人は本当に俺が6階級だと思ってるんだろうな〜。

なんか申し訳ないというより、罪悪感が。

「えっとー、あなたはここに来て何年何ですか?」

話題がないのでふと思いついた疑問を投げかけた。

「わ、私は、まだ3年」

まだで3年かー。本当に真面目な人なんだな。

「し、質問、いいでしょうか!?」

緊張した面持ちで手を短く挙げる門番さんに俺は許可した。

「はいはい、いいよー」

「えーっとですね。あの、このこと聞いちゃいけないかもしれないんですが……なんで6階級のお方が教師に転任したんですか?」

「え!?」

それはまさしく聞いちゃダメな質問だ!

「そ、それはねー」

「それは!」

そんな目を輝かせないでくれ。

「6階級くらいあれば、力なくても誤魔化せるじゃろー、それで教師やれ」って言われたから「たしかに、んじゃそれでー」って決めたなんて言えない。

すると右側にある教室の時計を見て慌てて言った。

「やっべ、もうこんな時間だー。またな!」

それだけ言い残し、俺は足早に去った。

集まる時間まであと30分くらいあったが、仕方ないだろ。こんな状況じゃ。

「あ、え……」

と、後ろから何か言いたそうな声が聞こえて少し遠くから振り返ったが、やはり表情はわからなかった。

また会ったらお礼でもするか。

そう心に軽〜い誓いをして目的地へ急いだ。



そして集合時刻1分前。

俺は学園長室前に立っていた。

「長話じゃないように」

俺はぼそっと呟き、ドアをノックした。

「いいぞー」

と返事が来たので俺はドアを開けると

「!?」



更新遅くなりました。白川みつきです!


(あとがきは今日中に詳しく書きますのでお待ちください)



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