0時間目-(2)
あの衝撃的悲劇の宣告から1ヶ月経った現在の俺は首都アルダルーンにいた。
アルダルーンの街は俺がよく知るRPGゲームの街のような造りになっていて、武器屋も防具屋も教会も何でもある。それに何といっても国に2つしかない勇者学校の一つがあるというほどの大きな街だ。
そんな街に着いたばかりの俺は太陽が盛んに輝く時間、昼ごはんを買いに市場に立ち寄ろうとしていた。
そんな時だ。
「泥棒だあーーーーーー!」
という男の叫び声が聞こえると、声がした方からすぐにボロボロのパンツからはみ出る腹を揺らす体の大きい3人組が走って来た。その姿はいかにも悪の山賊で~す! と言わんばかりの姿、それに右手には何かを抱えている。
「なるほどね~」
俺はテンプレの山賊を見てぼそっと呟く。そして何も考えずぼ~っと、タイミングを計り、男たちが来た瞬間に足をかけた。
やばい天才だわ俺……。
とまぁ、感動するほど見事に3人連続で倒れこんでいき「うげぇげええ」と間抜けな声が3連発で発せられた。
俺が腕を組んで近づくと、「痛えぇじゃねーか」と言いリーダー格っぽい奴が立ち上がって俺を睨んでくる。
「悪ぃ、足が滑っちまった」
俺はそう言うとてへっという仕草をした。
「テッメェエ!舐めてんのかあ!」
リーダー格の隣にいる男が叫ぶと背中に背負っていた刀を抜き、襲い掛かってきた。
俺は自分的に冷静でカッコよく相手の強さ(ステータス)を男の動きから推測する。
……ただの人間程度なら俺でも相手ができるな。……たぶん。
俺はふっと笑い、右腰に装備した片手剣をサッと抜き、相手の刃を止める。
刀と剣がぶつかり合うと同時に耳を傷ませる酷く大きな金属音が街に鳴り響く。
周りにさっきまでいた街人たちは危ないと察して、離れた所で観覧者たちが眺めていた。建物の窓からにも野次馬が覗いて野次を飛ばしている。
見物客が多いほど燃えるなあ!とは思わず、ちょっと緊張しゅるな〜っとつい心の中で呟いていた。
「1対3の状況でお前に勝ち目はあるのかあ? アァ?」
挑発するように言うと、サーベルで右、左へと何度も斬りかかってくる。
それを全て俺は片手剣で受け流す。
まばゆいように美しい青色に輝かせながら舞う俺の剣は、まるで久々の戦闘に喜んでるように見えた。
隙を突いて後ろからもう一人の山賊が斬りかかろうとするが、すかさず俺は前方の敵を剣で押しつけ、吹っ飛ばすと後ろに方向転換する。
すぐに剣で受け止め、次に襲い来る敵に対応するために蹴りでまたもぶっ飛ばす。
今日はよく飛ぶな~。なんて思いながらまたも前へ方向転換する。
「はッ!」
予想通りに前方から来たリーダー格の男に俺は唯一覚えている《剣技》を相手の武器に向かって繰り出した。
ビギナー向け剣技 《ホリゾンタルソード》。その名の通り勢いよく水平に青い光をまとって斬るというシンプルな技だ。
ちなみにこの技を習得するのにかなりの時間を費やした。だが、この技は……。
「はぁああ!」
俺は雄叫びを上げ、剣技を繰り出す。
それを見事にサーベルの刃に当てることができ、さらに武器を遠くに飛ばすことにも成功した。
「あ!?」
武器をなくしたリーダー格が愕然とした表情でいると、震え始めた足で後ろへ一歩二歩下がった。
今この男は驚きから恐怖へと変わったのだろうとわかるほど、顔色が悪くなる。
「あ……あ……」
先ほどの威勢は消えて、男の顔から汗がどんどん流れる。
これが恐怖に怯えた人間の顔なのか……初めて見たぜ。
「て、てめぇ……な、な、何もんなんだああ!!」
俺は剣の持ち手をぎゅっと握り、叫ぶように告げた。
俺は……。
「教師だッ!」
うっわ、オレ恥ずかしい!!
どうも白川みつきです!
更新大変遅れまして申し訳ありません。
ですが、サボ、休んでいる間にしっかり続きのストックは書きましたのでどんどん更新していきたいと思います!
ではでは!