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第一話 続かない幸福
5月も下旬に差し掛かり、すっかり梅雨が近くなったような気がする。
そんなある日の昼下がり、ぼくは学校で一人弁当を食べていた。
友達は作らない主義・・・というと聞こえはいいが本当は友達作りが下手なだけ。それは自覚している。だから、弁当も一人。周りはわいわいガヤガヤと談笑しながら弁当を食べている。自分は人の目なんか気にしない。
ただその気弱さは父親譲り。ぼくはそんな世界でたった一人の父親を半ば軽蔑していた。
「父さんの性格に似てしまったゆえ友達が少ない。」
当時はホントにそう思っていた。
でも、ある日を境にその考えは一変した。