11話
「054」と書かれたバッジを胸に光らせる渡辺佳正は、最初と似たような部屋にいた。最初の時と違うのは、絨毯と壁紙が青で統一されている事と、明かりはシャンデリア一つだけ。最初の部屋にあったソファも、大きく低いテーブルも、その上に置いてあったシャンパンもない。壁に飾ってあった絵もなくなっている。部屋の広さもそのままのようだ。
佳正は部屋を見渡すと、骸骨姿の不気味な物体が、部屋の片隅にいた。全身に肉はついておらず、骨のみだ。その姿をじっと睨んでいると、入り口である扉が開いた。
最後に開いた扉の奥から来た大学生くらいの男子を最後に、天井の一部が開き、そこからテレビモニターが降りてきた。周りが、ざわざわとし始める。モニターが映しだされ、そこには最初に見た不気味な笑みを浮かべたマトリョーシカがいた。
「おや、だいぶ少なくなっていますかな? さておき、さあ、皆さん第二ステージにようこそ。まだまだゲームは続きますよ。どのくらい生き残れるのやら。クックッ。さあ、ゲームの説明は、そこにいる骸骨のアレンに聞いてくれたまえ。では、健闘を祈る。クックッ」
そう言って、モニターはプツンという音とともに、天井に仕舞われていった。骨のみの奴の方へ目をやると、そいつは
「相っ変わらず、全部人任せかよ」
と喋り始めた。声が聞こえた方に周りが一気に視線をうつした。骸骨が喋る姿を見て、誰も驚かない。むしろ唖然としていた。それは、佳正も同じだった。
「驚かねえのか、こりゃ参ったな」
アレンはそう言って、カタカタカタと笑った。周りは唖然としたままだ。
「俺が、さっき紹介されたアレンだ。ここ、第二のステージの館主だ。よろしくな」
笑顔なのか真顔なのかわからないその顔で、軽い自己紹介を済ませたアレンは、早速説明に入った。
「さあて、説明するぞー。ここ、第二のステージは海だ。安心しろ、ここの海は、息ができるし、歩けるんだ。あえて泳ぐってのもありだけどな。第一ステージと同じように、さっき入ってきた扉から出て、次の館に着けばゴールだ。この館に水が入ってくることはない。さて、今回の敵は、海賊だ。海賊は複数いて、俺のような骸骨姿のやつもいれば、サメのようなやつもいる。海賊は、縄張り意識が高いからな。あいつらの縄張りに入ると、すぐに殺されちまう。ヒントを言っておくと、船だ。船の中には宝がたんまりなやつもあれば、全然ないやつもある。だが、それが命取りになるぞ。船の中には、大体海賊がいる。一度目が合えば、逃げることはできねえから、気をつけるんだな。海賊に会えば、刀で切られるか、食われるかのどっちかだ。会わねえために言っとくが、宝と海賊を口にしちゃダメだ。それと、欲張って宝を持っていかねえようにな。あいつらは、耳が一番優れている。宝と宝が擦れる音と、お前らの声は、絶対にわかるから、声には出すなよ。あと、行く順番は自由だ。それに、今回はモニターにも映し出されねえから、行きたいように行けばいい。ただし、一人ずつだからな。俺からの説明は以上だ。あとはお前らに任せるぞー」
アレンの長い説明が終わり、2回目のゲームが開始された。佳正は、ひどく緊張していた。そんな中、最初を名乗りでたのは、あの藤ヶ谷だった。藤ヶ谷は、一言もなく扉の前に立ち、扉が開くと同時に光に包まれ消えていった。その後、間隔を開けながら一人、また一人と扉の前に立ち、扉が開くと同時に光に包まれ消えていった。
十人くらい続けて行ったのだが、その後はかなり間隔が開いた。少し戸惑っている人もいるが、誰も行こうとはしない。また少し時間が過ぎた頃、50後半くらいのスーツ姿のダンディな男が、扉に向かい始めた。それを見てなのか、さっき最後に入ってきた大学生の男子も、その男の後についていった。スーツの男が光に包まれ消えていった数分後に、男子が扉の前に立ち、光に包まれ消えていった。その後も、女、制服の男、スーツの女が連続で扉に向かって行った。佳正は、足がすくんで動けなかった。
数もだんだんと少なくなってきた頃、アレンが急にカタカタと笑い始めた。
「もう5人も海賊に見つかってやんの」
それは佳正にとって、聞きたくもない言葉だった。五人海賊に見つかったということは、五人死んだということになる。第一ステージから第二ステージに残っていたのは、42名。第二ステージにもう18名も行っている。18名中5名がもう、死んだということだ。行く人数が多く、死ぬ人数が増えるのも早い。佳正は、ますます足がすくんでしまった。




