―神々の章―コセルアの提案
地球という星のはるかはるか彼方の上空から、神々の世界を束ねておられる神ゼウス様が、それはそれはもの悲しそうに、時折、うーむ、と声を漏らしながら、その星の様子を眺めておられました。ゼウス様にお仕えしている神官たちが、どうされたのですか、と心配そうに何度も何度もゼウス様に尋ねましたが、ゼウス様は一言も仰らずに一人ただただ考え込んでおられました。周囲の者たちは、ゼウス様の尊いお姿に深く感銘を受けながらも、ただならぬご様子の主に、片時も気を休めることができなくなりました。
それから千年の月日が経ちました。千年の憂いを終えたゼウス様は、もの悲しい表情のまま一言、皆を集めてくれ、そう仰いました。そうなっては神官たちは大騒ぎです。なぜならゼウス様の仰った言葉の意味するところは、神様会議を開くという意味であり、神様会議があるということは、おそらく例のあの輩どもが来るということを意味するからでした。
ここに、つまりゼウス様が居られる天界に、シキという名の神官見習いが居りました。四方八方ありとあらゆる神々への神様会議開催とその日時を伝達する役目を神官が担っているため、神官達は大忙しであり、見習いのシキもまた大忙しでありました。
「前からそう経ってはいないのにな。」
そうシキに声をかけてきたのは、同じ神官見習いのヨウでした。シキとヨウは神官学校の同級生であり、いつもなら一緒に学校に向かっているところでしたが、今日は神様会議の伝達に向かう先生の手伝いをするために、先生の家に向かっているところでした。
「つい千年前にしたところだよね。その前は一万年前ということを考えるとほとんど十倍の早さで、また神様会議が開かれるということになる。」シキは答えました。