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転機

 「…ここは森のどこら辺なんだ?」と呟いた。

それもそのはず。

春は、かれこれ半日は同じような景色を見ている。

通った道にはウサギの毛皮を吊るしたり、小石を撒いたりと、目印になりそうなものを片っ端から付けている。

だから、今まで通った道には目印が無かったから進んでいるのは確かなんだが、一向に景色が変わらない。

「はぁ、水が飲みたいなぁ」と呟くも水が出てくるわけでもなく、歩き続けること更に1時間弱。


何故かはわからないが急に森の景色が変わり始めて来て、しばらく歩いていると、木々の間に何かが見えた。

その何かに向かっていくと、湖だった。

幸い、水の透明度は高く、飲んでも問題ないと判断して、水を一口飲んでみた。

味がすっきりしていて飲みやすく、滑らかな舌触りだった。

春はこんな美味しい水を飲んだことがなく、夢中でゴクゴク飲んだ。


気分が落ち着いてきて、改めて周りを見渡す。

湖は大きく、向こう岸が霞んでいて、かすかに見える程だ。

(こんな綺麗な湖だったら、観光地になったりして有名なはずなんだけどなぁ)と、ここがどこの国かを考える。

と、ふと別の可能性が脳裏をよぎったが(まさかな)と思い、首を振る。


「ガサッ!」と茂みから音がして(ウサギか?)と思い、振り返ると、3~4等身の緑の体躯をした、顔は犬の顔を潰して醜くしたような醜悪な顔をしていて、ファンタジーの世界で見たことがあるゴブリンにそっくりだった。

そしてゴブリンを見ていると、あちらもこちらに気付いたようで手に持っていた棍棒を構えて襲いかかって来た。

「やっば!逃げないと!」と春はゴブリンとは逆方向に全速力で駆け出した。


しばらく走って(やっと撒いたか)と思い、振り返ってみると、わずかに小さい点が見える。

「まだ追って来んのかよ!」と走り出そうとしたが、前方にまたしてもゴブリンが現れた。

「まじかよ!?クソッ!戦うしかねぇか…」とナイフを手に持ち前方のゴブリンに突っ込んだ。

ゴブリンは棍棒で足を狙ってくるが、それを横に移動してかわして反対側の脇を切り裂いた。

しかし、ウサギの血で汚れていたせいで切れ味が落ちてわずかに皮を裂く程度だった。

春はその事実に慌てず、冷静に動きを観察して、ゴブリンからカウンターを取ろうと構える。


しかし、今のやり取りで時間を取られたせいでもう1匹がだんだん近くなってきた。

春としては2対1は不利な状況なので早めに目の前の1匹を片付けたかったが、向こうはこちらの様子をうかがってなかなか突っ込んでこない。

春はだんだん焦り、自分からゴブリンに突っ込んだ。

ナイフを横薙ぎで振り、ゴブリンの棍棒と打ち据えるも、瞬間的にこちらが打ち負けた。

春は打ち負けたとわかるや否や急いで後退した。


そして、ついに2匹目が来てしまった。

様子を見ながらじりじり後退するも、背中に木の感触がありこれ以上下がれない事が分かった。

春は覚悟を決めて、ナイフで1匹に切りかかる。

その瞬間に世界がスローモーションになり、このままでは棍棒でナイフごと自分が殴られるのが容易に分かった。

と、まさにナイフと棍棒が当たるその瞬間に「月の加護を…」と脳裏に聞こえ、ナイフを光が包み、刀のようなものに変わっていた。

そして、刀は棍棒ごとゴブリンの体を両断した。

あっけにとられていると、もう1匹のゴブリンが突っ込んできた。

慌てて刀を振ると、あっさりとまるで紙を切るように抵抗なくゴブリンを棍棒ごと両断した。

「なんだよ、これ…?」と呟くが、答える者は誰もいない。




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