日常からさよなら
「ふぃ~、やっと終わったかぁ~」
ふぅ、と一仕事を終えたような溜息をつく少年は名を桜咲春という。
「今日も1週間で一番疲れる授業だったな」と帰り支度をしながら悪態をつく。
ちなみに科目は古典で担当教師は自分の知識と優秀さをいちいち生徒に説明することで有名な「内藤」である。
「春~、今日はどこで遊ぶ~?」と友人がいつものように春に話しかけてくるが、「悪い、今日は俺、商店街のスーパーに寄って晩飯の材料買わなきゃいけないんだよ」と言い、足早に教室から出ていく。
「えーと、あと買わなきゃいけない物は…特に無いな」と歩いていると、ふと妙な予感がして裏通りに走って行く。
「ん?こんなところに本屋なんてあったっけ?」と少し警戒しながら近づく。
妙な予感がして裏通りに来たはいいが、そこには見知らぬ本屋があったのだ。
警戒するのも無理はない。
そして本屋に入っていくとそこは不思議な雰囲気だった。
なんというかこう、フォース的な何かを瞬時に感じ取った春は即座に出て行こうとして、ふと1冊の本が目に入った。
本の題名は「月の勇者と黙示録」と書いてあった。
装飾も決して派手では無かったのだが、何故か足を止めて手に取って中身を見たくなった。
内容はいたってシンプルな勇者が魔王を倒す旅をする話が書かれていた。
「いまどきこういう王道な話って珍しいよなぁ~」とある程度読んで本を閉じたその時に本が急激に発光した。
「うぉ!!何何何!?」と驚いてる間に光は春を包み、その姿が消えた。
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