中身なんだからなっ!!!
授業を告げるチャイムが鳴り響く。
そのチャイムと同時に、友達と話していたものは別れを告げ、また遅れそうなものは焦りながら教室に入ってゆく。
俺も教室に入り、担任がやってきて朝のHRを始める。
俺の席はグラウンド、窓側の後ろから二番目。席は名前の順でまだ並んでいるが幸いなことに俺は結構ゆっくりできる席になっていた。
いつもならグラウンドを眺めてHRが終わるのを待つ。
ただ……
今日だけはそうはいかない。
左手に中にある手紙を軽く握りしめる。カサっと少し崩れる音が小さく鳴り響いた。
ここで見ても全然大丈夫だろうと思う。ただ相手が誰だかわからない。普通手紙の表に名前くらい書いているものだと思っていたが探したところそれらしきものはなく、ヒントになりそうなのは小さな猫のマークくらいだ。
やがてホームルームは終わり、次の授業が始まるまでの休み時間になった。
皆がそれぞれわずかなひと時を各々楽しんでいる。
だが、そんな中で俺の気持ちはいつまでのこの手紙に集まってしまう。
席を立ち、教室を出る。そして横にある屋上へとつながる階段を上る。この屋上は常に解放されており、昼食をここで済ますものもいるが、このわずかな休み時間に集まるものは少ない。だからここで中身を確認しちまおうってことだ。
ガチャっと扉を開ける。
まばゆい限りの光が俺の体を包み込み、ブワッと春に良い風が吹き抜ける。
すぐ横にある角を曲がり、そこに身を預ける。
そして手紙をゆっくりと開く――
手紙の中身はこういうものだった。
『今日の放課後、学校裏の大きな木の前に来い!!!』
……お~い、中身と外の文字何も変化無いぞ?
いや、それよりもこれはやっぱり果たし状と言う言葉があってるのか?
心拍数がわずかに跳ねあがる。こんな意味不明の手紙をもらったことは初めてだ。
さて……これは行くべきなのか? それとも行く必要はないのだろうか?
そんなわずかな逡巡を抱いていると授業を告げるチャイムが鳴り響いた。
「やっべ」
ぐしゃっ、と強引にポケットへ手紙を押し込む。
ドアを開け、階段を駆け下りる――




