表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奪うスキルで嫌われた俺、偽りの空の下で成り上がる  作者: k


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/10

ボス戦前日はちょっと不安、

「なぁ、初頭効果を知ってるか?」


 ま、知りませんよね。

 そのキョトンとした顔を見れば、知らない言葉なのだと簡単にわかる。


「初頭効果というのは、相手から最初に得た情報は後の選択に大きく関与してくる、というものだ。つまり、お前が俺に与えた初頭効果は『英雄』だ」


「……英雄」


「あぁ、そうだ。だから、俺は今後ずっとお前を俺たちのパーティーへ入れたいと思い続ける。だから、今すぐでなくてもいい。お前が自分の本心に、自分のエゴに気づくことができたら、声をかけてくれ。ちなみに、俺たちのパーティーではフラットな関係がマストだぞ。たとえ弱くてもだ」


 本当は今すぐがいいのだが。無理そうなため諦めよう。

 永久輝と俺だけでそれなりに上へ行くことはできるだろう。


「……空賀。……僕も自分の本心に気づくことができた気がするよ。……だから、入っていいかな?……パーティーに」


 そうやって絞り出すように海隅が声を出す。

 案外、人は簡単に変われるのだな。


「あぁ、よろしくな――『秀才』」


――こうして、俺たちは三人パーティーになった。


 ***


「……なぁ、知ってるか? あの三人組の噂」


「あぁ。三十二階層までをたったの一ヶ月で登った奴らのことだろ?」


 ギルドの一角で二人の冒険者がとある噂を話している。

 普通の人間ならばその会話を聞き取ることは難しい。もちろん、俺は例外だ。

 俺はギルドの掲示板に貼られている依頼を見ながら、その会話に耳を傾ける。


「……普通なら、数年かけて三十階まで登るものだが、そいつらはたったの一ヶ月。それも、三人中二人が『稀スキル』、一人が『スキル無し』だそうだ」


 うんうん。もっと褒めようか。

 特に俺を。重点的に俺を。


「……何、ニマニマしてるんですか」


 右隣にいる、永久輝はゲスを見る目。左隣りにいる、海隅はちょっと動揺している。

 もっと聞いていたいが、これ以上は何されるかわからない。


「それで何か見つかりましたか?」


 魔物の素材はギルドで買い取ってくれるが、それは高値ではない。

 ギルドに登録したものであれば、自由に素材の回収の依頼を掲示板に貼ることができる。基本的に商人がそれをする。

 その依頼はギルドで買い取ってもらうより、高値のことが多い。

 そのため、商人は自分の欲する素材を、冒険者は高値の報酬を得ることができる。お互いウィンウィンというわけだ。


 空が落ちてくる、というタイムリミットがあるため、できれば上の階層へ行く理由になる依頼がいいのだが。


「空賀。これはどう?」


 海隅が依頼の書かれた紙を掲示板から剥がし、俺に見せてくる。


『三十四階層で生成される。魔石を100kgほど回収してほしい。報酬はうちの鍛冶屋で永続的な割引き』


 三十四階層。俺たちは今、三十二階層なため、三十三階層の攻略がマストになる。

 永続的な割引きはかなり魅力的だし、受けてもいいかもな。


 だが、問題もある。

 三十三階層、六十六階層、九十九階層には『守護者』――簡単に言えばボスがいる。

 ……俺たちの実力で勝てるのだろうか。

 だが、いずれ戦わなくてはならない敵になる。これをきっかけに挑んでみるか。


「……よし、それじゃあ、その依頼を受けるか」


 その後、俺たちは依頼受注の手続きをする。

 三階層先の依頼まで受けられるというルールがこのギルドにはある。

 そのため、何の問題もないのだが、受付嬢に心配された。

 まぁ、俺たちはまだ、元いた世界では高校生だもんな。……俺は三十年以上生きているが。


 ***


 ――明日、三十三階層に行く。

 

 今日は体や精神の疲労を回復し、明日に備えようという話になった。

 他の二人が何をしてるか知らないが、俺は宿でアビリティを考えることにする。


 <<エゴスロット>>

 ・空賀龍輝


 <<アクティブスロット>>

 1:兎(脚力、聴力)

 2:狼(持久力、嗅覚)

 3:オーク(筋肉)

 4:蜘蛛(糸、壁面吸着)

 5:スライム(物理攻撃耐性)


  

 こんな感じか?

 

 三十三階層にはボスのみが出現する。

 それはいいんだが、入るパーティーによってボスは変化するという、噂を聞いたことがある。

 つまり、情報なしで三十三階層は攻略しなくてはならない。

 とりあえず、万能なアビリティを詰め込んでみたが、大丈夫だろうか。

 ――いや、絶対に勝てる。勝たなくてはならない。


 より決意を固めるため、窓の外を見上げる。

 もう遅い時間のはずだが、それを感じさせない、光り輝く太陽。

 その空を見て俺はこう感じる。


「……あと……七年か」


 残りのタイムリミットを改めて考えた後、俺は就寝する。……つもりだった。


 ……やべぇ。日光見たせいで寝れねぇ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ