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奪うスキルで嫌われた俺、偽りの空の下で成り上がる  作者: k


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7/9

無能の秀才

俺たちはまだ、海隅と正式なパーティーになっていない。そのため、第二層へ上がるには『アシダカグモ』を自分たちの力で倒さなくてはならない。


 ――ということで、倒しました(俺一人で)。

 ……永久輝と倒したんじゃないの? という疑問を持っている奴はまぁ、いないだろ。

 

 精神と肉体に大ダメージを受けた俺は正直に言うと、もう帰りたい。

 情けないって?だったらお前がやれよ。そしたら俺の気持ちがわかると思うからさ。


 意気揚々と前を歩く二人の後ろをトボトボと歩く俺。

 二人は索敵能力を持っていないため、心配な気持ちはある。だが、俺の行動する気力は蜘蛛に取られた。


 アシダカグモを討伐してから数分後。

 第二層へ通ずる階段に到着する。

 階段の前には大きな石造りの扉がある。

 「ひらけゴマ」と言えば開きそうな見た目をしている。もちろん、冗談だが。

 扉の前へ立つと、自動的に大きな音を響かせながらゆっくりと、開き始める。

 機械仕掛けではなく、魔法仕掛けという言葉が正しいだろうか。


 俺たち全員が扉をくぐると、自動的に閉まり始める。

 階段を登り、次の階層へ行け、という意味だろう。


 ***


 俺たちは第二層へ到着した。

 辺りの景色は第一層と同じで洞窟。

 聞いた話によると、第一層〜第三十三層までは洞窟らしい。

 ただ、出てくる魔物は違う。もし同じだったら、俺は冒険者をやめている。

 今後、出てくる魔物の詳細は知らないが、蜘蛛や虫が出てこないことを祈ろう。


 ……来たか。


 三体。形は人型。何か武器を持っている様子もない。


「……前から魔物が来たぞ。しかも、三体」


 その言葉を聞くと二人は警戒態勢へと入り、前方へと意識を集中させる。


 ……骸骨姿の魔物が姿を現す。

 いわゆる、スケルトンだな。

 筋肉もないし、どうせハズレアビリティだろうな。

 身長も俺たちより少し低いし、見るからに弱そう。……フラグにならないよね?


 腰にある長剣に手をかけ、いつでも攻撃を開始できる状態になる。

 今回のメインは俺じゃない。そのため、出しゃばらないほうがいいだろう。それに俺は二人の後ろにいるし。


 海隅が駆け出す。

 海隅には俺たちのスキルの説明はしてある。

 そのため、『導光』を活用し、スケルトンに斬撃を食らわせる。

 やはり、足運びや剣の使い方、敵の動きへの適応力、どれも俺を超えている。

 ……俺より主人公してね?


 その後、一分ほどで戦闘は終了した。

 カラン、と乾いた音を出しながら転がるスケルトンに手をかざす。


 <<アビリティ>>

 骸骨:物理攻撃耐性マイナス10%


 デバフじゃねえか!

 いや、骨が物理耐性持っていたら、それはそれで怖いけれど。


「空賀。どうした?」


 やべっ。ツッコミのせいで硬直してた。

 早く反応しなくては。


「なんでもない。早く進もうぜ」


 平然を装い、返事する。

 骸骨はストレージで一生を過ごしてもらおう。


 ***


 その後、攻略に数時間かけ、第二層の魔物を全種類討伐することができた。

 これで、第三層へ登ることができる。

 

 俺たちは一度第三層へ足を踏み入れ、テレポートを可能にしよう、という話になった。

 その階層へ少しでも体を入れれば、自由にテレポートができるようになる。

 つまり、俺はもう二度と第一層へ足を踏み入れることはない。……たぶん。


 俺たちは第三層へと通ずる階段を登る。

 さて、海隅のスキルを考えるとしよう。

 これは憶測でしかないのだが、彼のスキルは戦闘に関係のないスキルなのではないだろうか。

 ……いや、こんなこと考えても仕方がない。

 いっそのこと、聞いてみるか。


「……なぁ、海隅。お前のスキルの詳細を教えてくれないか? お前は自分のスキルにコンプレックスを抱いているのかもしれない。だが、俺はお前のスキルを知りたい。そこにお前が自分を卑下する理由があると考えているからだ」


 俺たちは足を止める。

 俺はそのまま言葉を続ける。


「お前は俺の命の恩人だ。そんなお前に何かしらの恩を返したいと思っている。だが、命と同格のものなどない。だから、一番お前が悩んでいそうなスキルのことを相談してくれ」


 海隅は驚いた表情を浮かべ、そのまま数秒硬直する。

 悩んでいるんだろうな。話すべきかどうかを。

 俺としては話してほしいが、無理強いはしたくない。


「……無いんだ。スキルが」


 ……そう来たか。

 この世の人間のうち、四割ほどの人間がスキルを所持している。

 俺たち、『稀スキル』の者たちも下に見られるが、スキルを所持していない者たちはより、下に見られてしまう。


「……スキルすら持っていない僕は、きっと君たちの足を引っ張ることになる。そんなの嫌なんだ。だから、僕をパーティーに勧誘するのは諦めてほしい」


 足を引っ張る、か。

 正直、今の俺たちがそれをやってしまっているんだが。

 ……さて、どうやって口説こうか。

 そろそろ、永久輝にパスしてみるか。


「永久輝はどう思う?」


 少なからず、海隅と過ごしてきた彼女も何かしらの感情を抱いているだろう。

 まぁ、それが海隅にどのような変化を与えるかはわからないが。


「私は海隅さんをパーティーに入れたいです。それも絶対に」


 へぇ、迷いがないんだ。

 それじゃあこのまま、任せてみるか。


「今の空賀さんは弱いです。そのため、今後上に上がるには大量の時間を費やさなくてはいけません」


 絶対にいらないだろ。俺が弱いことを伝えるのは。

 本当に永久輝は俺にナイフを投げてくる頻度が異常だ。


「……空賀は今後、成長する見込みがあるでしょ。それに比べて僕みたいな凡人は限界がすぐ近くにあるんだよ。だから、いずれ戦えなくなる」


「私は今も戦えません」


 確かにお前は現在進行系で戦えないな。

 まぁ、スキルのせいだから仕方がないんだが。


 ――もう、十分だな。

 そろそろ、前世の知識を使ってみるか。

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