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奪うスキルで嫌われた俺、偽りの空の下で成り上がる  作者: k


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6/7

俺の財布に隙間風が

 俺はどちらかと言うと貧乏だ。

 ただ、俺は基本的に食事と宿代くらいにしか、金は使わない。そのため、不自由はそこまでないのだ。

 ……すまない。訂正しよう。不自由はなかった、だ。


「……てめぇら。加減を知れよ」


 ここは定食屋。

 単価はそこまで高くなく。リーズナブルと言っていい店だ。

 ただ、当然だが大量に注文した場合、料金は高くなる。


 そろそろ、予想できたんじゃないだろうか。今の状況を。

 目の前にあるのは皿の山。それを俺は直視できない。直視すると、俺の感情は絶望で染められてしまう。


「海隅さん!これとても美味しいですよ!一口いかがですか?」


「本当だ、美味しい!ありがとう、永久輝!」


 食事は人を幸せにさせる。

 コイツらは『幸せ』という名の領域を展開し、俺の声を遮断している。


「おい、ガキども!いい加減にしろ!」


 俺は怒りの感情を声で表し、領域を崩す。


「てめぇら、いくつだよ!奢るとは言ったが、これはマナー違反だろうが!」


「どこがマナー違反なんですか。残さずに食べていますよ」


「俺へのマナーがなってないだろうが!」


 奢りだからといって、頼みすぎないという暗黙のルールがこの世には存在するだろうが。コイツらは本当にガキだな。


「……ごめんね、空賀。確かに、君のことを考えていなかったよ」


 恩を忘れたわけではない、だがしかし、これとそれでは話が別だ。


「……確かに冷静に考えると、これはマナー違反かもしれませんね。謝ります、空賀さん」


 よかった。

 これでこれ以上出費がかさむことはなさそうだな。


「では、最後にデザートを頼みますね!」


「あっ、僕もデザート頼んでいい?」


 お前ら本当にふざけていやがるな。

 冷静に考えてデザート頼むのは、おかしいだろうが。

 俺の回答はもちろん決まっている。


「だめに決まってんだろうが!」


 

 その後、何とかコイツらの食欲を抑えることに成功し、会計に移動する。

 値段は聞かないでくれ。

 まぁ、参考程度に言うとしたら、塔で入手した素材を売り払った収入の三倍だった。

 

 こういう時って「次は自分が払います」とか、言ってもらえるもんじゃなかったけ?

 会社に入社する前に死んだから、よくわからないけど。


「空賀さん。私たちを『ガキ』と呼んだこと謝ってくれませんか」


「は?何言ってやがる。海隅はともかく、お前は実際にガキだろ」


「私は十七歳ですよ!」


 は? 十七? コイツが?

 俺、十六なんだけど……。


「……それ、冗談か?」


「いえ、事実です。来年で永遠の十八歳になります」


 アイドルかよ。

 ていうか、コイツ中学生くらいにしか、見えないんだが。


「ちなみに、僕は十八歳だよ!空賀は?」


「……じゅ……十六歳」


 馬鹿にされる予感がする。いや、絶対だろうな。


「偉そうにしてたくせに、年下って。笑えますね」


 笑顔だ。

 永久輝のここまでの笑顔は初めて見た。

 そんな顔するんだったら、こっちの容赦が消えるぞ。


「てめぇ、その体で何言やがる!十歳だと言われても何一つ疑問が浮かばない体で!」

 

「まだ、成長期が終わってないだけですよ!」


「成長期は十五で終わりだよ!」


「違います!成長期には個人差があるんですよ!」


 俺たちが言い合っていると、海隅がクスクスと笑い出す。


「悪いな。コイツがギャーギャー叫んでしまって」


「それはあなたでしょうが!」


 永久輝の怒りの言葉は無視すべき、と脳が判断する。


「本当に仲がいいんだね。うらやましいよ」


「これは喧嘩だろうが」


「その通りです」


 俺の脳が少しずつ冷えていき、物事を冷静に考えられるようになる。

 そのせいで、辺りの視線にも気がつく。

 そういえば、俺ら大声で言い合っていたな。


 これ以上、この店に迷惑をかけるわけにもいかないため、とりあえず外に出ることにする。


 中世ヨーロッパ風の建物たちが立ち並ぶこの街はここが異世界だと実感させる。

 だが、少しずつだが当たり前になりつつある。

 突然どうしたかって?さっきの出来事を思い出すと、恥ずかしさが俺を襲うのさ。だから、その恥ずかしさを紛らわすためだよ。


「……なぁ、海隅。もしよかったら、俺たちのパーティーに入らないか?」


 俺は突然そう切り出す。

 コイツの力があるのとないのじゃ、今後が大きく変わると予想する。そのため、できれば入ってほしいが。


「……無理……かな。僕じゃ、二人の足を引っ張る」


 海隅は俺より強いのだが。

 ま、まさか、これは煽り?いや、冗談はやめよう。

 謙遜、あるいは稀スキルの条件。どちらかはわからないが、引き入れるのは難しそうだな。


「……じゃあ、明日。また、俺たちと塔へ行かないか?その後、もう一度答えを聞かせてくれ」


「……わかった。それくらいならいいよ」


 ここで見極めさせてもらおう。俺たちのパーティーに必要か否か。


 この時の俺は忘れていた。

 アシダカグモは海隅が討伐しただけで、俺たちは討伐していないことを。

 つまり……いや、やめよう。

 

 


 

 

 

 


 


 

 


 


 

 


 

 

  


 


 


 

 

 

 

 


 

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