ようやく仲間が!?
「……ちょっ、ちょっと待ってくれ」
「なんですか?」
うざそうな目だ。いやいや、俺は君を助けたんだよ? もう少し、マシな目線を俺に送ってくれよ。
ギルドから出ていってしまった彼女を呼び止め、話し始める。
「君さ。木節たちとはパーティーという関係だったんだよね?」
「そうですね。おそらく、捨てられましたけど」
あんな別れ方したんだ。そう、結論つけるのが普通だよな。
彼女には申し訳ないが、これは俺にとってチャンスだ。この機を逃すつもりはない。
さて、どのように誘うべきだろうか。単刀直入に言うか、時間をかけるか。
……やっぱ、単刀直入に誘ってみるか。タイムリミットが存在するしな。
「なぁ、もしよかったら、俺とパーティーにならないか?」
その話題には反応してくれた。手応えは少なからずありそうだ。
「パーティーメンバーはあなた以外にいますか?」
「い、いない」
まずいな。俺とパーティーを組む利点を示すべきだろうが、俺には実績も富も人数もないからな。
「……いいですよ。パーティーメンバーになっても」
えっ? な、なんで? 俺の話に君への利点になることなんてあった?
「……り、理由を聞いてもいいかな?」
「私は『稀スキル』を所持しています。そのため、あなた以外に拾ってくださる方がいるかどうか。というのが理由ですかね」
彼女も『稀スキル』か。
やっぱ、不遇だよな。有能なスキルでない限り、基本的に拾ってくれない。
うん? でも彼女は木節たちとパーティーを組んでたんだよな。だったら、有能なスキルなんじゃ。
いや、これ以上考えるのはよそう。
彼女の意見が変わる前に反応すべきだ。
「……それじゃあ。これからよろしくな。俺は空賀龍輝だ。お前は?」
「私は永久輝 悠羅です」
な、名前だけですか。よろしく、くらい言ってくれてもいいんだよ。
***
その後、俺たちは塔へ来ていた。
お互いにその後の予定がなかったため、いきなりだが行こう、という話になった。
道中にお互いのスキルの確認は終えたため、準備はバッチリだ。
彼女……いや、永久輝のスキルは『導光』。
簡単に言えば、相手に弱点を作り出すスキルだ。
ただ、条件があって……何かが近づいている。
「永久輝。来るぞ」
永久輝は声を発さなかったが、警戒はする。
目の前に現れたのはゴブリン。雑魚だ。
ちなみに俺はゴブリンを嫌ってる。
なぜかって? それはアイツのアビリティは知能を下げるという、デバフだからだ。まぁ、ゴブリンに何かされたわけではないのだが、ちょっとイラッときた。
ゴブリンを見ると、腰のあたりが淡く光っている。
『導光』の効果だな。
俺は短剣を握り、ゴブリンとの間合い兎の脚力で一気に詰め、光っている部分を切る。
少し切りやすい……気がする?
まぁ、1.1倍などこの程度か。だが、これからだよな。
光の位置が変わり、今度は右肩が光る。
それに瞬時に反応し、短剣を突き刺す。
1.2倍もよくわからないな。
今度は首元が光り出す。
できれば、サンドバッグになってほしいんだが、1.3倍を試すためにも首を狙うか。
首に短剣を突き刺し、熊の筋力でそれを横に動かす。
威力が1.3倍高くなっている気がする。多分。きっと。おそらく。
「どうだ。俺の実力は」
この程度、楽勝。それを伝えるために話をきり出す。
「ゴブリン程度、楽勝でなくては困ります」
冷た。
まぁいいや。もっと重要なことを考えよう。
俺は右手に剣を持ち、左手に短剣を持つ。
彼女のスキルには『コンボ』が存在する。そのため、俺は攻撃頻度を上げる必要がある。今すぐにできるのは二刀流。だが、重さのバランスが取れていないため、筋力を上げる熊のアビリティは必須になってしまう。
「あっ、聞くの忘れてた。スキルの最大倍率とかあるのか?」
「最大で2倍まで引き上げれます。あなたにできるかは知りませんが」
なんで煽りを付け足すんだよ。いらないだろ。
おっ、リベンジマッチを始められそうだ。
この音、この形、忘れもしないぜ。
「新たな敵が来たぞ」
スライムは絶対に殺してやる。
さて、リベンジマッチを開始しようじゃないか……って、多くね。
数は7体。マジかよ。
いや、2倍を試しやすいと、考えよう。そのほうが絶対にいい。
一体のスライムの……お腹? 腰? 顔? どの部位か、よくわからないが光る。
光っている部分に剣を振るう。1.1倍程度じゃ、流石に殺すことはできないよな。
今度もさっき、光っていた部分とほぼ同じ場所が光る。
剣を振るった時の遠心力を利用し、回転する。そのまま、短剣で攻撃する。
その後も攻撃を続けていく。1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍――2.0倍。
2倍の斬撃をスライムに食らわせると簡単に、ではないが、一刀両断に成功する。
このまま、全員真っ二つにしてやる。
――その後、コンボを止めることなく攻撃を続け、スライムを全滅させる。
討伐完了。
前回の経験を生かし、狼をセットしていたため、体力はそれほど消耗していない。
何かしらの魔物が出現したとしても、難なく討伐できるだろう。
それじゃあ、スライムのアビリティを手に入れるか。
<<アビリティ>>
スライム:物理攻撃を10%軽減
10%ってどのくらいだ?
「それで、後は何を討伐すればいいのですか?」
10%について考えようとすると、永久輝の声により、遮られる。
「えーっと。後は……」
ちょっとまて、そういえばあれをまだ討伐していなかった。
俺の天敵。第一層に出現する魔物の一覧を見た時、名前だけで俺の背筋を凍らせた存在。
それは……




