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奪うスキルで嫌われた俺、偽りの空の下で成り上がる  作者: k


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2/7

ソロ攻略してみるけど、

「受け取れませんよ」


「はい? 」


 驚くほどかすれた声、あっけらかんとした顔、それが今の俺だ。


 俺は討伐したうさぎ肉をギルドで提出しているところなのだが、「受け取れない」という返答に困惑している。


「今回の依頼はうさぎ肉を提出する、というものですが、この肉は毒が回っております。そんな物を欲する変人などいません」


「……血抜きとかすれば大丈夫なんじゃ? 」


「これを見て、そんなこと言えますか? 」


 そこには紫色に変色したうさぎ肉が置かれている。狼をセットしたせいか、微かに悪臭を放っているのがわかる。

 ものわかりの良い俺は諦める、という結論を出す。


「じゃあ、処分しておいてください」


「処分にも費用が必要になりますが、それでもよろしいですか? 」


 最悪だ。報酬ゼロでは飽き足らず、マイナスなんて。けど処分方法なんて知らないからそうしてもらうしかないよな。


「……お、お願いします」


 泣き叫びたい。もう、やだよこの世界。俺という存在はどれほど不遇扱いを受けなきゃいけないんだよ。


 その後、諸々の手続きをした後、ギルドを後にしようとするが、兎をセットしていたせいで雑談が耳に入る。


「……なぁ、アイツ、『稀スキル』らしいぜ」


「マジかよ! そりゃかわいそうだぜ」


 『稀スキル』。その言葉だけ聞くと強力なスキルと勘違いするだろう。だが、実際は不遇な扱いだ。

 この世に出回るスキルのほとんどが、剣技や魔法などの才能を上げる、というものだ。それ以外を『稀スキル』と呼ぶ。

 才能を上げるスキルはシンプルで扱いやすく、パーティーでの連携を取りやすいという利点がある。

 だが、俺たち『稀スキル』は何かしらの条件の下強力、という扱いづらいスキルとなっている。

 俺のスキルでは『殺す』、というとんでもない条件が課せられている。


 そんな俺の『簒奪者』という暗いスキルを所持した奴なんて、誰も関わりたくない。そのため、俺は常に一人だ。

 早く宿へ帰ろう。これ以外ここにいたくない。

 

 ――こうして、今日が終了した。


 ***


 翌朝、俺は『青龍の塔』の前へ来ていた。

 昨日の損失を取り戻す、自分の限界を知る、これら二つのためだ。

 俺は深く息を吐き、決意を固める。

 

 ――よし、行くぞ!


 俺は足を踏み入れた。


 第一層。薄暗く、冷気が漂う洞窟内。

 視界が悪いが、そこはアビリティで補おう。

 各階層のクリア方法はその階層に出現する魔物を、全種類討伐すること。

 まぁ、俺はクリア方法が違ったとしてもそうしていたが。


 狼の嗅覚を頼りに辺りを索敵する。

 

 ……いる、上だ。

 上を見上げると、そこにはコウモリがいた。ただ、デカい。あれは『オオコウモリ』だろうか。

 前世の記憶を信じるのなら、奴はフルーツを食べるらしいが、この世界では……違いますよね。

 口元から飛び出している牙がものがたっている。私は肉食です、と。


 俺とオオコウモリは目を合わせている。どちらも行動はしない。そんな時間数秒続く。

 

 だったら、俺の方から仕掛けるか。

 俺は近くに転がっていた、小石を手に取り投げつける。

 魔法が使えれば良かったんだが、あいにく俺には魔法の才能がない。


 石を回避し、翼を広げ飛行する。

 それを兎のアビリティである、発達した脚力を使い、斬りかかる。

 その斬撃はかすりはするが、かわされてしまう。ただ、かするだけで俺は勝つ。

 蛇のアビリティ毒。

 セットしておいてよかった。これでアイツは死ぬ、……はず。

 アイツの生き生きとした動きになんだか心配になってくる。

 毒耐性とかないよね?


 攻撃を仕掛けてこないため、俺は観察する。

 少しずつふらつき始めるが翼を動かしている。死には至らないようだ。やっぱ、強いな。

 ただ、弱ったアイツなど簡単に倒せるから問題ないんだが。

 俺はもう一度斬りかかり、トドメを刺す。


 さて、どんなアビリティだろうか。


 <<アビリティ>>

 オオコウモリ:スキル『反響定位』が使用可能


 反響定位。索敵能力が増えるのはありがたい。

 ここら一帯は血肉の匂いで充満してしまい、嗅覚が機能しない。そのため、狼と交換することにしよう。

 

 ――よし、試してみるか。

 目を閉じスキルを発動する。


 すると、見るとは違い触るという感覚のほうが近いだろうか。周囲にある岩たちのおおまかな形を理解することができる。

 このスキルは不意打ち対策になってくれそうだな。

 そろそろ、アビリティの確認は終えて、進んでみるか。


 ***


 ――数時間後。

 第一層にいる大半の魔物を狩ることに成功した。

 順調に進んでいる。入るのを渋っていたが、案外俺は強いようだ。ソロでもやっていけるんじゃないか?

 おっと、慢心は良くないか。まだ、第一層。全九十九層もあるんだ。まだまだ、強い魔物が大量に出てくる。


 ……おっ、俺は運がいいな。まだ、討伐していない魔物が来てくれたようだ。

 

 ……この形、スライムか?

 反響定位で確認すると、丸い物体がその体を震わせながらジャンプして移動している。

 おいおい、スライムなんて序盤に出てくる魔物の定番だ。弱いに決まってる。


 スライムが俺の視界に入った瞬間、斬りかかる。

 

 ……き、切れない。


 俺の当てた斬撃はスライムの形を歪ませただけで、切傷など一切無い。

 今度は蹴りを入れてみる。だが、効果は今ひとつのようだ。

 あぁ、これっていわゆる『物理耐性』ってやつか。

 俺は一度距離を取り、様子を伺う。

 すると、口から液体を発射してくる。

 俺は難なくそれを回避する。

 だが、その液体の効果に驚愕する。これは『酸』だ。

 

 ……逃げるか。勝てるビジョンが見えない。

 空賀龍輝は異世界転生して、スライムに殺された。そんなのは絶対に嫌だ。

 ――俺はすぐさま走り出す。


 狼のアビリティを外してしまったことにより、持久力は失われていたが、兎の脚力により逃げ切ることに成功した。

 だが、体力がもうない。

 ずっと深く呼吸をしていたせいで喉が痛い。

 ――もう、帰ろう。


 俺は塔を出る。

 タイムリミットがあるにも関わらず、こんなところでつまずくなんて。

 今の俺に必要なものは……


「……仲間……だよな」

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