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奪うスキルで嫌われた俺、偽りの空の下で成り上がる  作者: k


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風を操る守護者


 ダメージが累積し、俺の体は限界。

 一目連は俺が諦めたと考えているのか、追撃はしてこない。

 そりゃそうだ。

 誰が見ても俺が格下だとわかるほどにピンチ。


 ――だが、俺は諦めるわけにはいかない。


 俺はフィクションの物語に出てくる選ばれた主人公ではない。

 才能も、動機も、人脈も、金も、どれも誇ることはできない。

 ……ただ、俺には絶対に譲れないものが存在する。


「……俺には『生きて帰る』とかいう、ちゃんとした目標が存在するんだよ!」


 俺は走り出す。奴の弱点に。

 奴の弱点、それは奴の腹だ。

 竜は本来、空に出没する。こんな洞窟に出現などしない。

 だから、常にある弱点には気づけても、対策できる弱点には甘くなる。

 蜘蛛の糸を奴の胸元に貼り付け、オークの筋力、兎の脚力を使い、一気に距離を詰める。


 その後、奴の腹部の光っている部分に長剣を突き刺す。

 そのまま、突き刺した長剣を持ちながら、後方へ移動する。

 傷が広がり、奴は絶叫を発する。

 それによりこの洞窟が震えるが、そんなことは気にしない。


 奴は裂けた腹部を保護するために、体を大きく移動させようとするが、ここは洞窟。そんな事はできない。

 尻尾に到達し、長剣を引き抜こうとする。

 だが奴は暴れ、俺が抜き取る前に尻尾の位置が変わる。

 俺は長剣を諦め、蜘蛛の糸を使い頭部へ移動しようとする。

 だが、思い通りにいくことなどそうそうない。

 俺に風の刃が向かってくる。


 軽く回避して致命傷だけ避けるか? いや、それでは体勢が崩れる。

 

 だが、その刃は俺に届かず――海隅に当たる。

 海隅は俺を庇い、刃をもろに受ける。

 限界だったはずなのに。詰めの甘い俺のせいで動かせてしまった。

 いや、考えるな。勝つことに脳のリソースをすべて使え。


 今がクールタイム。この機を逃すな。

 宙にある奴の頭部に糸を利用し、距離を詰める。

 

 光ってんだよ。てめぇの頭は。

 永久輝のスキルが威力を上げ、俺の短剣は硬い鱗で覆われている頭部に突き刺さる。

 短剣をねじ込み、その穴を広げる。


「てめぇが、俺に与えた猶予を利用し、アビリティを変えたんだよ。これにな!」


 その穴に腕を突き刺す。

 俺は狼を蛇に変更していた。

 流石に竜だとしても、頭部に大量の毒を流し込めば、いずれ死ぬ。

 暴れ出すが、俺はここを離れない。


 早く死ね、早く死ね、早く死ね!

 俺たちは限界なんだよ!


 奴は俺ごと頭部を天井にぶつけようとする。

 ……これはまずい。俺はこれに耐えられない。

 俺は腕を抜き、蜘蛛の糸を利用し、着地する。

 天井に奴はぶつかり、砕けた岩、舞った土煙が視界を遮る。

 上を見上げると、奴の巨体が落ちてくる。


「何だそりゃ。最後の最後は自殺かよ」

 

 勢いよくぶつけた頭部はもう、原型を留めていない。

 たとえ、生きていたとしてもあれほど毒を流し込んだんだ、動けるはずない。

 吹き荒れていた風が止み、戦闘終了を告げる。

 

 ――俺たちの勝利か。


 永久輝が俺たちの元へ駆けてくる。

 声を出す気力は俺に残っていないため、指で海隅を見るように指示をする。

 俺も限界だ。意識がいつ飛んでもおかしくない。 

 早く奴のアビリティを奪わなくては。


 <<アビリティ>>

 一目連:左目の視力を失うかわりに風を操ることが可能


 ……試したい……が……限界……か。

 

 ――俺の意識はここで止まる。


 ***


 ――治癒魔術。

 俺がこの戦いで必要だと感じた、ものの一つだ。

 体は一瞬で万全な状態へ戻り、いつも通りの生活へ戻る。

 万能すぎる。ほしい!


 実際に受けたが、そういう類のことをやってもらうには金がかかる。

 金額は安いとは言えない。まぁ、受けなきゃ死んでたから後悔はないんだが。

 俺の財布くんは後悔させてくるけど……。

 

 『一目連』との戦いが終わり、一日が経った。

 何日も気絶していた、というわけではなく、数時間で俺は目覚めた。

 海隅もほぼ同時に目を覚まし、永久輝は特に怪我を負うことはなかった。

 誰一人、命を失わなかったが、金と長剣は俺の手元から失われた。

 早く受けた依頼をこなして、武器を調達しなくてはな。


 『守護者』は討伐すると、その体は霧となり消えてしまう。

 そのため、収入は無し。

 おいおい、またかよ。マイナスはもうごめんだっていうのに。


 唯一、俺に増えたもの。

 それは――『一目連』のアビリティ。

 これを使いこなせる技量が俺に存在するかは、わからない。

 だが、いずれでいいんだ。今すぐでなくとも。

 この武器を自分のものにしてみせる。――絶対にだ!

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