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ヒロインやってる暇なんて無かった……

作者: こうじ

 私の脳内に突然『前世の記憶』みたいな物が飛び込んできたのは食事中の事だった。


「どうしたの? イレシア」


「い、いえ、なんでもありませんわ」


 慌てて落としたスプーンを拾い、私はスープを飲んだ。


(ここって前にやった事がある乙女ゲームの世界よね?)


 記憶を思い出したのは両親との話で国名を出された時だ。


 あれ?聞いた事ある様な……、と思っていたら一気に日本人だった頃の記憶が脳内に入って来た。


 前世の私はブラック企業に務めていた20代の限界OLだった、多分家で倒れてそのままお亡くなりになったかもしれない。


 そして、今の私はイレシア・フレーテルというピンク色の髪の毛に可愛らしい顔の男爵令嬢になっていた。


 このイレシアという少女はいずれは聖女となりヒーローである王子様達と学園生活を過ごしながら国を襲う陰謀に立ち向かい、結果として王子様と結ばれる。


(まだゲームが始まる前の頃よね、ゲームで見るより幼いし)


 スープを飲みながら状況を確認しつつこれからの事を考えていた。


 何事もなければ数年後には貴族学院に入学してゲームが始まる。


(ただ、私以外にも転生している可能性もあるよね)


 私はネット小説も読んでいて調子に乗ったヒロインが破滅する内容の小説も読んでいた。


 だから気を緩めずに日々を過ごしていこう、と決意した。


 ……決意したんだけど、まさかこんな事になるとは思っていなかった。


「え、借金……?」


「すまない、信じていた友人に逃げられて……、私が返さなければいけない事になった……」


 お父様、友人に騙されて借金の連帯保証人になっていてその友人は逃げられ我が家は借金を背負う事になった。


「どうするんですか、イレシアはもうすぐ貴族学院に入学するんですよ。 入学金も納めていないのに……」


 お父様は土下座してお母様は嘆いていた。


 このままではゲームの舞台である学院に入る事すら出来ない。


「手っ取り早く稼げる方法は無くもないのだが……」


「その方法とはなんですか?」


「ダンジョンに入り魔物を倒し魔石を採取する事だ。貴重な魔石なら高値で売る事が出来る」


 この世界にはダンジョンがあり魔物から採れる魔石が貴族間では取引されていて貴重な財源になっている。


 普通ならば冒険者ギルドに依頼して冒険者を雇うのだが依頼料を払わなければならない。


 借金を背負っている我が家にとって出費は出来る限り避けたい。


「私がダンジョンに行きますわ」


「イレシア、危険すぎるわ、嫁入り前の体に何かあったら……」


「でも今この家で動けるのは私だけですから」


「すまない、不甲斐ない父を許してくれ……」


 こうして私はダンジョンに挑む事になった、まさかこんな事になるなんて思っていなかった……。


 でも聖女の力がある訳だし、なんとかなるんじゃないか、とも思った。


 ……結論からすればなんとかなりました。


 やっぱり聖女の力は凄かった、魔物も浄化出来るし隠し部屋を見つけて宝箱を見つけたりトラップも見抜ける事が出来るのでサクサクと攻略する事に成功。


 気がついたら借金を返済した挙句我が家の財政が上向きにいけるぐらいに稼いでいた。


 ただ、ダンジョンに籠り過ぎて貴族学院に入学する期間は過ぎてしまっていた。


 まぁ、それもいっか、と思い私はこのまま冒険者になる事にした。


 正直な話、ヒロインやるよりもこっちの方が楽しいので。


 その後、ダンジョン内で出会った同じ貧乏男爵家の次男と意気投合して結婚、幸せな家庭を作る事が出来た。


 社交の場よりもダンジョンにいる方が多くて貴族界の噂なんて耳にも入って来なかった。


 何故か私達が凄腕の冒険者貴族として有名になっている、とは思わなかった。


  

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