きっと僕は好きだった
今日は隣の席の子が来なかった。
僕とその子とはインドアだったので、打ち解けるのは早かった。仲が良い子だった。女の子にしては、少し短い髪をしていた。とても趣味の会う子で、本やゲームの話で盛り上がった。
そして、何故かはわからないけれど、とても紫色が似合う子だと思った。
次の日も、その次の日も、その子は来なかった。僕は友達が多い訳ではない。だから、とても寂しかった。
それから、半年が過ぎた頃だっただろうか。駅前で、偶然その子に会った。紫色の髪飾りを着けていたかもしれない。
僕は、久々に会った彼女と話した。彼女も、僕の事を覚えていてくれたらしく、久しぶりに楽しい会話ができた。
何故、学校に来なくなったか聞いたら、
「最初は病気で休んだの。でも、長引いちゃって。久々に学校にいったら、根掘り葉掘り皆に聞かれるでしょ?それが嫌なの。」
と答えてくれた。僕は、彼女が少し恥ずかしがり屋なのは知っていたけど、これほどまでとは思ってなかった。でも、本当の理由を隠すための言葉に、僕が騙されただけかもしれない。補足しておくと。当時、僕は非常に馬鹿だった。
しばらく話して、別れ際。僕は彼女に言った。
「君が学校に来なくなって、ずっと君のことを考えていたんだ。」
僕は幼かったから、きっとこの感情の意味が判らなくて、思ったことを言ったんだ。そして、こう続けた。
「だから。君も、学校にきて欲しい。そうして、一緒に遊ばない?」
彼女は「考えとく。」と答えて、その日は別れた。
次の日も、彼女は来なかった。卒業まで、彼女は来なかった。転校したんだと思う。年末の名簿には、彼女の名前はなくなっていた。次のクラス分けの名簿にも、彼女の名前はなくなっていた。卒業アルバムにも、彼女は写ってなかった。
今は、たまに彼女のことを思い出すだけ。もう、名前すら思い出せないけれど。紫色の似合う彼女のことを思い出す。僕は、紫か好きだ。だから、僕がこの気持ちにを自覚するには遅すぎた。別れ際、照れてしまったんだ。もっと直球で、言えば良かった。もう会えないのなら、気持ちを伝えれば良かった。
あれはきっと初恋だった。
私の実話だ。




