第五十八章 旅立ちの決意
朝焼けが大地を照らし、戦争の終わった世界に静かな風が吹いていた。
悠聖と紗江は、王都を見下ろせる丘の上に立っていた。
これからのことを決めるために——。
「……本当に行くのか?」
悠聖が問いかける。
彼の瞳は、不安よりも決意に満ちていた。
「うん」
紗江は静かに頷く。
「この世界がどう変わっていくのか……自分の目で見たい」
——ドクン。
悠聖が小さく笑い、彼女の髪を優しく撫でる。
「なら、俺も一緒に行くしかないな」
その言葉に、紗江の心が甘く震える。
「悠聖……」
名前を呼ぶと、彼はそっと彼女の手を取り、ゆっくりと指を絡めた。
「俺は、お前と共に生きる未来を選んだんだから」
——ドクン、ドクン。
彼の温もりが、紗江の不安をすべて溶かしていく。
「……ありがとう」
囁くように言うと、悠聖はふっと微笑み——
彼女の額にそっと唇を落とした。
「礼なんていらない」
甘く優しい声が、耳元に響く。
「これからも、ずっと俺のそばにいてくれるんだろ?」
——ドクン。
心臓が跳ねる。
「……うん」
悠聖が満足そうに微笑み、紗江の手を強く握った。
「じゃあ、行こうか」
そして、二人は未来へ向けて歩き出した——。
これが、彼らの新たな旅の始まりだった。




