第五十六章 新たな時代の幕開け
夜明けの光が、戦場に差し込む。
悠聖と紗江が選んだ未来——それは、“ささやき”のない、新しい世界だった。
王国軍も帝国軍も、もはや剣を交える理由を失い、静かに武器を下ろしていく。
「……戦争は、本当に終わるのか?」
兵士たちが戸惑いながらも、次第に理解し始めていた。
(これが……私たちの選んだ未来)
紗江は悠聖の手をそっと握る。
「悠聖、私たち……やっとここまで来たんだね」
——ドクン。
悠聖はゆっくりと頷き、彼女を見つめた。
「……ああ。だけど、これが終わりじゃない」
彼は静かに紗江の髪を撫で、そっと彼女の腰を引き寄せる。
「これからが、本当の始まりだ」
低く甘い囁きに、心が揺れる。
(悠聖がいるなら、私はどんな未来でも歩いていける——)
ふっと彼を見上げると、悠聖は優しく微笑みながら、紗江の頬をそっと撫でた。
「お前がいたから、俺はここまで来られた」
——ドクン。
彼の言葉が、甘く胸に響く。
「……私もだよ」
静かにそう告げると、悠聖は満足そうに微笑み——
次の瞬間、彼の額がそっと紗江の額に触れた。
「……これからも、俺の隣にいてくれるか?」
甘く優しい囁き。
心臓が高鳴る。
「……もちろん」
そう答えた瞬間、悠聖はそっと紗江を抱きしめた。
「ありがとう」
その言葉とともに、彼の腕の温もりが紗江を包む。
——ドクン、ドクン。
(私は、この人とならどんな未来も選べる)
新たな時代の幕開け。
二人の未来は、ここから始まる。




