表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ささやきの運命  作者: 乾為天女


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/120

第五十三章 最後の選択

 管理者が消え、静寂が戦場を包んだ。

 悠聖は紗江の手を強く握りしめながら、兵士たちを見渡す。

 ——ドクン。

 誰もが困惑していた。

 王国と帝国の兵士たちは、剣を構えたまま、だが誰も動かない。

(この戦いは……本当に終わるの?)

 不安げな表情を浮かべる紗江に、悠聖はそっと微笑んだ。

「……このままじゃ、まだ未来は決まらない」

「悠聖……?」

 その瞬間、彼は紗江の手を引き、彼女の目をじっと見つめた。

「最後の選択をしよう」

 ——ドクン。

 彼の声が甘く、深く、心を揺らす。

「俺たちは、“ささやき”を完全に消すのか、それとも……残すのか」

 未来のすべてを決める問い。

「紗江、お前は……どうしたい?」

 悠聖の真剣な瞳に見つめられ、紗江は息をのむ。

(私は……どうしたい?)

 “ささやき”が消えれば、未来を予知することはできなくなる。

 けれど——

「……私は……」

 紗江は悠聖の手を強く握り返す。

「私は、もう誰かの声に振り回される未来じゃなくて……私たち自身が選ぶ未来がほしい」

 ——ドクン。

 悠聖の目が優しく細められる。

「なら、決まりだな」

 彼はそっと紗江の髪を撫でた。

「俺たちの選ぶ未来を、みんなに示そう」


 悠聖と紗江は、戦場の中心へと立つ。

「俺たちは、未来を“誰かの声”ではなく、自分たちの意志で選ぶ」

 悠聖の声が響き渡る。

「“ささやき”に頼らなくても、人は生きていける。だから、俺たちはもう“導き”はいらない!」

 ——ドクン。

 兵士たちが息をのむ。

 そして——

「“ささやき”の力を、ここで消す!」

 悠聖がそう宣言した瞬間、空に巨大な魔法陣が浮かび上がる。

 それは、“ささやき”を司る最後の残滓。

「紗江、俺と一緒に」

 悠聖が彼女の手をぎゅっと握る。

「この力を、終わらせよう」

 ——ドクン。

 紗江は悠聖の顔を見上げ、力強く頷いた。

「うん……!」

 そして、二人は——

 自らの手で、“ささやき”を消し去るための最後の一歩を踏み出した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ