第五十二章 管理者の最期
悠聖の声が戦場に響き渡る。
「聞け! お前たちは何のために戦っている!?」
その言葉に、一瞬、王国軍も帝国軍も動きを止めた。
剣を交えたまま、兵士たちが悠聖を見つめる。
「お前たちは、自分の意志で戦っているのか?」
——ドクン。
紗江の“心のささやき”が、兵士たちの本音を拾い始める。
(……本当は、戦いたくない)
(もう終わらせたい……)
心の奥底から漏れ出す本音。
(みんな……この戦いを望んでなんかいない……)
「これが本当に、お前たちの選ぶ未来なのか?」
悠聖の声が、再び響く。
「“ささやき”に導かれる未来なんて、もう終わりにするんだ!」
——ドクン。
紗江は彼を見つめながら、確信した。
(悠聖なら……この未来を変えられる)
その時——
「戯れ言を……!」
管理者が、静かに歩み寄る。
「お前たちは未来を選ぶなどと言いながら、その実……破滅へと導いている」
「違う!」
紗江が声を張る。
「私たちは、自分の未来を“自分の意志”で選ぶ!」
彼女の言葉が戦場に響く。
——ドクン。
悠聖が紗江の手をそっと握る。
「俺たちはもう、誰かに操られる運命は選ばない」
管理者が静かに目を閉じる。
「……そうか」
そして——
「ならば、未来を託そう」
管理者の体が光に包まれ、ゆっくりと消えていく。
彼は最後に——
「その選んだ未来を、見届けさせてもらう」
そう言い残し、完全に消滅した。
静寂が訪れる。
戦場は、今——未来を選ぶ岐路に立っていた。
悠聖が紗江の手を強く握る。
「紗江……」
「悠聖……」
——ドクン。
二人の想いが、確かに繋がる。
「これで、終わる……?」
紗江が不安げに尋ねる。
悠聖は小さく微笑み、そっと彼女の頬を撫でた。
「いや……これが、始まりだ」
その言葉とともに、未来は静かに動き出していく。




