第五十一章 戦場に響く声
未来を選ぶ光が二人を包み込み、静寂が広がる。
しかし、その静けさは長くは続かなかった——。
「王国軍と帝国軍が再び動き出した!」
緊迫した声が響き、戦場の混乱が広がる。
「……未来を選んでも、それを信じない者たちがいる限り、この戦争は終わらない」
悠聖が低く呟く。
その目には、強い決意が宿っていた。
——ドクン。
その横顔を見つめながら、紗江は彼の手をぎゅっと握る。
「私たちが選んだ未来を……示すしかないね」
「……ああ」
悠聖は小さく微笑むと、紗江の腰を引き寄せた。
——ドクン。
「……!」
彼の温もりが全身を包み、鼓動が跳ねる。
「怖がるな。俺がそばにいる」
耳元で囁かれた瞬間、体が熱くなる。
(悠聖がいるなら……何も怖くない)
その想いが、彼女を突き動かした。
「さあ、行こう」
二人は互いに頷き合い、戦場へと飛び込んでいった——。
戦場の中心。
王国軍と帝国軍が衝突し、無数の剣が閃く。
「……止めるしかない」
悠聖は剣を構え、一歩踏み出す。
だが、その時——
「待て!」
紗江が彼の腕を掴んだ。
「悠聖……あなたの言葉で、みんなを止めて」
「俺の……言葉で?」
彼が驚いたように紗江を見る。
「あなたの“未来のささやき”は、みんなが信じる未来を示せる……だから、戦うんじゃなくて、伝えて」
——ドクン。
悠聖はしばし沈黙し——
そして、深く頷いた。
「……分かった」
彼はゆっくりと剣を収め、戦場の中心へと進む。
そして——
「聞け!」
その声が、戦場に響いた。
——ドクン、ドクン。
彼の言葉が、この戦いの行方を決める——。
未来は、今ここで変わろうとしていた。




