第四十九章 最後の試練
眩い光の中、悠聖と紗江は確かにお互いの温もりを感じていた。
——ドクン。
手を繋ぐ指先が、熱を持つ。
「これで……終わるの?」
紗江が囁くように問う。
「いや、まだだ」
悠聖の低く甘い声が、彼女の耳をくすぐる。
その瞬間——
「最後の試練だ」
管理者が静かに告げた。
その言葉とともに、空間が歪み、二人の足元が光に包まれる。
「——っ!」
紗江は思わず悠聖の手を強く握った。
「怖がるな」
悠聖が彼女の腰を引き寄せる。
——ドクン。
近い。
彼の腕の中が、世界で一番安全な場所のように感じる。
「お前がいるなら、俺はどんな試練でも越えられる」
甘く低い囁きが、彼女の心を震わせる。
(この人となら……どんな未来でも)
光が消えた瞬間、目の前に広がっていたのは——
**“悠聖のいない世界”**だった。
「え……?」
紗江の心臓が、冷たく締めつけられる。
「悠聖……?」
呼びかけても、彼の姿はどこにもない。
寒い。
怖い。
悠聖がいないだけで、こんなにも——。
「これは……私の試練……?」
——ドクン。
「お前は、悠聖なしでも未来を選べるか?」
管理者の声が響く。
「お前は、悠聖の存在に囚われ、未来を見失ってはいないか?」
「違う……!」
紗江は震える声で叫んだ。
「私は……悠聖がいるから、未来を選べるの!」
その瞬間——
「その答えが、試練を越える鍵となる」
眩い光が再び広がった。
そして、次の瞬間——
「——紗江」
悠聖の声が聞こえた。
「……悠聖!」
彼の姿を見つけた瞬間、紗江は涙が零れそうになる。
走り寄ろうとした、その時——
悠聖が、静かに彼女の腕を引き寄せた。
——ドクン。
抱き寄せられた瞬間、彼の体温が確かに感じられる。
「……お前がいる世界以外、俺はいらない」
低く甘い囁きが、耳元に落ちた。
全身が、熱くなる。
「悠聖……」
名前を呼ぶと、彼の腕の力がさらに強くなる。
「もう……離さない」
その誓いとともに、最後の光が収束した——。
二人の試練が終わり、未来が確かに手の中にあると信じて——。




