第四十六章 運命を超える力
悠聖が剣を握りしめ、管理者と対峙する。
空間が軋み、雷のような魔力が奔る。
——ドクン。
その中で、紗江はただ悠聖の背中を見つめていた。
「紗江、絶対に俺から離れるな」
低く甘い囁きが、戦場の喧騒の中でもはっきりと響く。
(悠聖……)
彼の背中が、どんな盾よりも心強く見えた。
「行くぞ」
悠聖が地を蹴り、一瞬で管理者との間合いを詰める。
「——試してやろう」
管理者が手を翳した瞬間、黒い魔力が奔る。
悠聖の剣が光を帯び、それを斬り裂いた。
しかし、管理者は薄く微笑んでいる。
「なるほど……確かに、お前の力は異質だ」
その言葉と同時に、悠聖の動きが止まった。
「……何っ……!?」
まるで時間が止まったかのように、悠聖の体が硬直する。
「これは……」
紗江が息を呑む。
「“未来のささやき”を利用する者よ……その力はすでにこの世界の理を乱している」
管理者が冷たく告げる。
「お前が未来を知りすぎたせいで、世界は今、均衡を失おうとしている」
——ドクン。
悠聖の顔が歪む。
「そんなもの……俺が決めることだ!」
「ならば、選べ」
管理者の瞳が、深く悠聖を射抜く。
「“未来のささやき”を捨てるか、それとも——」
——ドクン、ドクン。
悠聖は拳を握る。
そして、その瞬間——
「悠聖!」
紗江が彼の腕を掴んだ。
「お前は……」
悠聖が驚いたように彼女を見つめる。
「お前は、俺を信じるのか?」
——ドクン。
その問いに、紗江は迷わず頷いた。
「信じるよ。どんな未来でも、私は悠聖と一緒にいる」
その言葉が、悠聖の瞳に深く刻まれる。
「紗江……」
彼の手が、そっと紗江の頬に触れた。
「……お前がいるなら、俺はどんな未来でも選べる」
低く甘い囁きが、心を溶かすように響いた。
その瞬間——
悠聖の剣が光を放つ。
「さあ、管理者。俺たちの未来は——俺たちが決める」
そして、最後の戦いが始まる。




