第三十九章 誓いのキス
悠聖の腕の中で、紗江は静かに目を閉じた。
彼の温もりが、全身を包み込む。
——ドクン。
心臓が、高鳴る。
「……悠聖」
名前を呼ぶと、彼は優しく微笑んだ。
「お前の記憶……取り戻させる」
その言葉とともに、悠聖は紗江の顔をそっと両手で包み込んだ。
「っ……!」
近い。
彼の瞳が、まっすぐに自分を見つめている。
「お前にとって、俺は誰だ?」
静かに問いかける悠聖。
紗江は一瞬、息を飲む。
(悠聖は……私にとって……)
記憶が歪むような感覚に襲われる。
けれど——彼の瞳を見つめると、不思議と心が落ち着いていく。
「……大切な人……」
そう呟いた瞬間——
悠聖の唇が、そっと紗江の額に触れた。
「っ……!」
——ドクン。
全身が甘く痺れるような感覚に包まれる。
「俺は、お前のことを絶対に守る」
低く、優しい囁き。
その言葉が、紗江の心を深く揺らす。
「悠聖……」
彼の胸にそっと顔を埋めると、悠聖の腕がさらに強く彼女を抱き寄せた。
「もう、どこにも行かせない」
静かな誓いのように。
彼の温もりに包まれながら、紗江は確かに思った。
(この人となら、どんな運命でも乗り越えられる)
そして——
次の瞬間、彼の指先がそっと紗江の頬をなぞる。
「……お前の心が、俺のものになるまで」
甘く、優しく。
悠聖の囁きが、紗江の心を完全に支配していた。




