第三十七章 救出作戦
夜の帳が帝国の城を包む中、悠聖は静かに息を整えていた。
紗江が囚われてから、どれほどの時間が経ったのか——。
(もう……待てない)
彼女を失う恐怖が、彼の心を締めつける。
「——行くぞ」
悠聖は剣を握りしめ、影のように城へと忍び込んだ。
一方、地下牢の中——。
紗江は、静かに目を閉じていた。
悠聖が迎えに来てくれると信じている。
だからこそ、どんなに冷たい闇の中にいても、心は折れなかった。
(悠聖……)
その時——。
ガンッ!
突然、扉が大きく開かれた。
「紗江!」
——ドクン。
息が詰まる。
「……悠聖!」
目の前には、息を切らしながらも鋭い瞳で彼女を見つめる悠聖がいた。
彼はすぐに駆け寄り、紗江の手を強く引いた。
「迎えに来た」
その声が、紗江の全身を熱くする。
彼の温もりに触れた瞬間、涙があふれそうになった。
「……ありがとう……」
紗江が小さく囁くと、悠聖はぎゅっと彼女を抱きしめた。
「遅くなってごめんな」
——ドクン。
彼の声が、肌に触れる。
この腕の中が、どんな場所よりも安全で、温かい——。
「……ずっと待ってた」
そう呟くと、悠聖は彼女の背に手を回し、さらに強く抱き寄せた。
「もう、二度と離さない」
甘く低い囁きが、彼女の耳元に落ちる。
心が震えた。
(ずるい……こんな風に言われたら)
涙が止まらなくなる。
「……うん」
彼の胸に顔を埋めると、悠聖の手がそっと髪を撫でた。
「怖かっただろ」
「……でも、悠聖の声が聞こえたから、大丈夫だった」
その言葉に、悠聖の腕の力がさらに強くなる。
「お前は……俺が守る」
彼の囁きが、誓いのように心に染み込んだ。
(もう、どこへも行かない)
この人のそばにいれば、それだけでいい——。
夜の静寂の中、二人はただ強く抱きしめ合った。




