第二十八章 真実の扉
魔族の城の奥深くへと導かれた悠聖と紗江。
黒曜石の床が静かに二人の足音を反響させる。
「……これから、どうなるの?」
不安げに紗江が呟くと、悠聖はすぐに彼女の手を握った。
「怖がるな。俺がいる」
——ドクン。
その一言だけで、体の力が抜けていく。
この人が隣にいるだけで、どうしてこんなにも安心できるのだろう。
「紗江」
悠聖がそっと彼女の髪を撫でる。
「……っ」
心臓が跳ねる。
指先が、優しく頬をなぞった。
「お前は、俺だけを信じればいい」
その囁きが、甘く耳をくすぐる。
(もう、だめ……この人に……)
理性が蕩けそうになる。
——その時。
「着いたぞ」
リゼルが立ち止まり、巨大な扉を開いた。
そこには、古代の魔法文字が刻まれた巨大な石碑が鎮座していた。
「これは……?」
紗江が息をのむ。
リゼルが静かに告げる。
「“ささやき”の真実が、ここに記されている」
——ドクン。
紗江と悠聖は、互いの手をぎゅっと握り合った。
この扉の向こうに、世界を揺るがす真実が待っている。
そして、二人の運命もまた——変わろうとしていた。




