第二十三章 奪還作戦
悠聖の腕の中に抱きしめられた瞬間、紗江の心は震えた。
ずっと望んでいた温もりが、今確かにここにある。
(本当に……迎えに来てくれたんだ……)
その事実が、胸をいっぱいにする。
「待たせて悪かった」
悠聖の囁くような声が、耳元に落ちる。
「でも、もう……お前を離さない」
——ドクン。
体が熱くなる。
彼の腕の力が、決して離さないとでも言うように強くなる。
「悠聖……」
名前を呼ぶと、彼は微笑み——
「……俺のこと、信じてついてこい」
その言葉が、紗江の心を完全に囚える。
「うん……!」
彼の手を強く握り返した瞬間——
「……ここで逃がすわけにはいかん」
低い声が響く。
ライゼルが鋭い目で二人を見据えていた。
「貴様らの力……特に“ささやき”は、王国にとって重要なものだ」
「悪いが、そんなつもりはない」
悠聖は紗江を背にかばい、冷静に言い放つ。
「俺たちは……俺たちの未来を選ぶ」
「……ならば、力尽くで止めるまでだ」
ライゼルが剣を抜いた瞬間——
ドンッ!
爆発音が響き、部屋の窓が割れる。
「行くぞ、悠聖!」
騎士たちを足止めするように、星斗と実海が乱入してきた。
「……ナイスタイミングだ」
悠聖はすぐに紗江の手を引き、出口へと駆け出す。
「逃がすな!」
ライゼルの指示で兵士たちが追いかける。
だが——
「……っ!」
悠聖は紗江を抱き寄せると、一気に体を反転させた。
「——大丈夫、俺が守る」
囁く声が、静かに紗江の耳に落ちる。
心臓が高鳴る。
(この人の腕の中なら……本当に、何も怖くない)
——ドクン。
悠聖の温もりに包まれながら、紗江はただ、彼に身を預けた。
月明かりの下、二人の逃亡劇は、さらに熱を帯びていく——。




