第十七章 新たな仲間
ルセリアの街を歩きながらも、紗江の意識はずっと悠聖に向いていた。
彼が自分の手を握るたび、言葉を交わすたび、心臓が痛いほど高鳴る。
(……これって、やっぱり……)
自分の気持ちを認めるのが怖くて、無理やり考えを逸らそうとしたその時——
「おや、見慣れない顔だな」
突然、落ち着いた声が聞こえた。
目を向けると、一人の青年が立っていた。
洗練された装いに鋭い目つき。どこか冷静で、けれど底知れぬ雰囲気を持っている。
「……誰だ?」
悠聖が即座に警戒の色を浮かべる。
すると青年は肩をすくめた。
「俺は大世。ここルセリアで情報を売っている者だ」
「情報屋……?」
紗江が小さく呟くと、大世は微笑を浮かべた。
「君たち、王国から逃げてきたんだろう? 隠れ家くらいは提供できるぜ」
悠聖は眉を寄せたまま、大世を見つめた。
「……何の目的で?」
大世は少しだけ考えるように間を置き——
「面白そうだから、かな」
さらりとそう言った。
それが嘘ではないと、紗江は直感で分かった。
(この人……本心を隠しているようで、本当のところは純粋なのかも)
「心のささやき」が、そう囁いている気がした。
「……どうする?」
悠聖が、そっと紗江に問う。
彼の声が、自分の意見を尊重してくれているようで、胸がじんわりと熱くなった。
(やっぱり、ずるい……)
こんな状況なのに、彼の優しさに触れるたび、恋が深くなっていく。
「私は……悠聖が決めて」
紗江がそう言うと、悠聖は一瞬だけ驚いたように目を見開いた。
そして、すぐに微笑む。
「……分かった」
その表情が、あまりにも優しくて。
「なら、頼らせてもらうよ、大世」
悠聖がそう答えた瞬間——
彼の手が、紗江の手をぎゅっと握る。
「お前が望むなら、俺はどこまでも一緒にいる」
囁かれる声が、甘く響く。
紗江は、もうこの手を離すことなんてできなかった。




