表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ささやきの運命  作者: 乾為天女


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/120

第十一章 決断の夜

 夜の風が静かに街を駆け抜ける。

 悠聖と紗江は、廃墟となった古い教会の影に身を潜めていた。

 王城からの追っ手はすぐ近くまで迫っている。それなのに——

「……怖い?」

 悠聖の声が、静かに紗江の耳に届いた。

「……ううん」

 小さく首を振る。

 怖くない、と言えば嘘になる。

 でも、それよりも——

(この人のそばにいられるなら……)

 そう思う自分がいることに気づいてしまった。

「俺がいるから、大丈夫」

 悠聖は、そっと紗江の手を握った。

 ——ドクン。

 その手は、驚くほど温かくて。

「……私、悠聖のこと……信じてる」

 震える声で、けれど確かな想いを込めて紗江は言った。

 すると——

「紗江」

 彼は、そっと彼女の頬に触れた。

 優しくて、包み込むような手のひら。

 ——近い。

 彼の瞳に映る自分が、何もかも奪われそうで。

「俺も……君を信じてる」

 静かな囁きが、夜の闇に溶ける。

 風が吹き、二人の距離をさらに縮めた。

 ——キスしてしまいそうな距離。

「……っ」

 紗江は息を止める。

 悠聖の視線が、自分の唇にわずかに落ちたのが分かった。

(……ダメ、こんなの……)

 けれど、目を逸らせない。

 彼の指が、そっと髪を撫でた。

「……俺が守る」

 囁く声が、直接心に響く。

 紗江の心は、完全にこの人に囚われてしまっていた。

 彼の温もりに包まれながら、紗江はただ静かに目を閉じた——。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ