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不登校転生  作者: 凛快天逸
4/10

やばい!

 6つの道に分かれる初期位置から、僕は順を回って探検を始めた。最初は斜めの道から。そして次は横の道。最後に縦の道。道中で出会う色んな物に驚いては、感動した。


「ほら、食べていきな!」

「どうも!」


 僕、お金は持ち合わせてなかったけど、試食できる屋台もあったんだ。これまで食べたことのない味に、僕は度肝を抜かれた!


「これ、触ってみてもいい?」

「いいぜ、こいつ面白い形してるだろ?」

「凄い、変な果物……!」


 それに、屋台で売られている変な形の果実に鼻を近づけたり、触ったり!

 とにかく使えるだけの五感を駆使して楽しんだんだ。



―――――――――

――――――

―――



 そして数十分が経過。 ある程度観光を楽しんだ所で、初期位置に戻ってきた。


「ふぅ〜。楽しかった!―――って、あれ?」


 まるで漫画のような出来事に僕の心は躍っていたが、ここで一つの事実に気づいた。


「人通り、少なくなってきたな……」


 さっきまで人混みで通りはごった返していたのだが、何ていうか今は、出勤ラッシュが通り過ぎて一段落した感じだ。僕は都会住みなので、こういう経験なら数えられない程見てきたのだ。朝の通学路に酷似しているぞ、この光景。


 もしかして、現実世界と時間がリンクしているのだろうか。それなら説明がつく。


 「えっと、それよりも」


 とにかくここまでで分かった事を少しだけ整理したいと思うんだ。


 この国の名前はシンドラという事。

 そしてこの国の形は球形になっていて、背の高い城壁によって囲まれている事。


 国の規模はかなり大きく、数十分の探検では到底探索しきれなかった!


「あ、そういえば―――」


 興奮が段々と冷めてきた。


「どうやって帰るんだ?」


 そして冷静になった頭に、一つの疑問が芽生えた。

 当然だ、僕は日本出身、ここに住んでるわけじゃない。住む場所も無ければ、頼る人もいない。出来れば今すぐ帰りたいんだけど。


「……」


 そしてそれを皮切りに、色んな疑問が沸き起こった。


 どのくらい僕はここに滞在することになるのだろう?

 食事はどうするんだ?お金なんて、ないんだし。

 服だってどうすればいいんだ?着替えもないし。


 とかとか。


「えっと、これってやばくね……?」 


 その全ての疑問に、僕は答えることが出来なかった。不安が不安を呼んで、とうとう膨れ上がった不安が全身を縛りつけ、動けないでいた。


 そして僕は一つの大変な事実を思い知らされた。


「おい!!!」

「ひぃ!」


 僕は大通りの真ん中に突っ立っていたので、当然のように通行人にぶつかってしまった。


「ぼーっと突っ立てると危ねーぞ!」

「ご、ごめんなさい!」


 背後からやってきた中年のおっさんみたいな人と肩が接触。

 反射的に謝罪を口にした。


「たく、最近の子供は―――」


 この異世界での出来事は実際に自分が経験するのだ。つまり誰かが僕と衝突すれば痛い。痛ければ当然、ダメージを受ける。そしてダメージを受け続ければ、僕は死んでしまう!

 こいつはゲームとは違う!現実なんだ!


「いってって……」


 あの人、滅茶苦茶ガタイがいいな、なんて、通りの中央から脇の方に移動しながら、思っていた。


 そして現実ならば、食欲だってあるんだ。

 つまり……


 ぎゅるるる……


「お腹すいた……」


 そういえば今日、朝食食べてなかったっけ。

 僕は腹の虫がなったお腹に手を添えながら、空を仰いだ。


「これからどうしよう……」

 

 僕の視線は石造の建物郡から切り取られた空に向けられた。そこには雲なんて一つもなく、妙に青い空があるだけだった。

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