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オレフリ

「…………終わった…………」


俺の名前は波川なみかわ ゆう、うだつのあがらないサラリーマンだ。

そんな俺だが今、猛烈な達成感に包まれていた。

理由は趣味が高じて続けていた冒険モノファンタジー小説を完結させたからだ。



「幸せになってくれよな…」


今年で30になる俺だが、年甲斐もなくパソコンの前で泣き散らしていた。

ほぼ毎日投稿し続け、とうとう終わりを迎えた今日この時には500話を超える大作になってしまった。


もちろん今に至るまでにはいろいろあった。

考えても考えてもキャラが思った通りに動かない、何度も推敲しても崩れる文章、投稿した後に発生したとしか思えない誤字脱字、どれだけ体調が悪くても気を失うまで書き続けた。


結果としてプレビュー数は正直あまり伸びなかったが、そんなことが些事に思える程度には偉業を成し遂げた気分だった。


「………終わったんだよな………」


改めてパソコンの画面を確認する。

そこには確かにハッピーエンドを迎えた主人公とヒロイン、そして『完結』の二文字が記されていた。


今日という日は記念日だ。

だというのに達成感の後に訪れたのは、疲労感とそれを上回る虚脱感だ。

数少ない応援コメントを見ればまた達成感が上回るかもしれないが、今は何をするという気分になれなかった。


「酒でも買ってくるか…」


俺はパソコンの電源をそのままに近くのコンビニに向かった。


「1500円になりまーす」


金髪の兄ちゃんが気怠そうにレジを打つ。

普段あまり酒は飲まないが、チューハイ2本とさきいか、フライドチキンまで買いこみ想像以上に使ってしまった。


「はぁー……」


借りている安アパートの階段を上る。

カンカンカンという音が静かな夜に寂しく響く。

203、すぐに俺の部屋の前に着いた。


「ただいまー……」


帰りを待つ若妻などいないのにも関わらず、時折家に喋る癖が出てしまうことがある。

もちろん返事があるはずもない______


「あ、おかえりー」


響くはずのない黄色い声。

泥棒か!?慌ててリビングに駆け込む俺。

するとそこには__


「待ってたよ!どこ行ってたのー?」


そこには頭の中に何度も描いていた、俺の小説の主人公と結ばれたはずのヒロイン、ラピスラズリ・エイファがちょこんと佇んでいた。


初投稿です。

勢いで書きましたが頑張って継続しようと思います。

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