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レイアとノア

そして、メアの行為でノアの怪我が治るまでおいてくれることとなった。

 「レイア次のあてとかはあるの?」

 メアが言うとレイアが首を左右に振る。

 「もし、まだあきらめるつもりがないなら カルタシスの一族里に行ってみるといいわ。」

 メアがテーブルに地図を広げながら言うとレイアが地図のさした場所を覗き込む。

 「何か関係があるの?」

 レイアが聞く。

 「あの研究所のことは一族でも噂になっているわ。レアが攫われてから。」

 メアが下を向きながら言う。

 「メア叔母さんも知っていたんだね。」

 レイアがさみし気に言うと「黙っててごめんなさい。」とメアが言う。

 「ううん、いいの。きっとお父さんが黙っててって言ったんでしょ!」

 レイアがわざと明るい口調で言うとメアが苦しい表情をする。

 「叔母さんありがとう!ノアの怪我が治った後の行き先決めた!」

 立ち上がりながらレイアが言う。

 「行くのね。決めたなら私も応援するわ。」

 複雑そうな顔でメアが言う。

 そうして数週間が経ったのち旅たちの日がくる―。

 「メア叔母さん長い間お世話になりました!」

 レイアお辞儀をしながら言うとノアも続けてお辞儀をする。

 「道中気をつけて村長さんたちにもよろしくお伝えくださいね。」

 メアが言うと二人と三体のぬいぐるみは旅路につくのであった―。

そして数日後、無事に一行はカルタシスの一族の里につく。

 そして、集落の入り口ではつく時が分かっていたように老婆が立つ。

 「よく来たな。レイア、ノアも。」

 老婆が言う。

 「あなたが村長ですか?」

 レイアが恐る恐る聞く。

 「いかにも。疲れただろう。ついてきなさい。」

 村長がそう言うと二人は後を追う。

 村長に案内された建物の中に入るとござが引かれていてそこに座るよう促せられる。二人は座ると村長が咳払いをする。

 「研究所のことを聞きに来たんだろう?」

 村長が言うと二人は頷く。

 「検討はついているが行くかを決める前に様々な伝手を辿って送られてきた。」

 小さな小堤と封書を二人の前に出す。

 「覚悟がないなら見なくてもいい。」

 村長が言うとノアが恐る恐る中を覗くレイアに見えないように。

 「レイアは見ない方がいい。」

 ノアが真剣に言う。

 「ノア、私も見る。」

 レイアの真剣な表情を見て見せようとするがノアは小堤を渡さない。レイアは無理やり小堤を奪い中を見ると小堤を落としそうになる。中に入っていたのはアーバンが身につけている指輪をはめた人間の薬指だった。

 文書には「レイア君は僕の友達、遊ぼうよ。」と書かれていた。

 傍から見たらただの気味の悪い文書と贈り物だがレイアの心をえぐるには十分すぎた。

 「これを見てもまだ研究所に行くって言えるのか?レアとアーバンさんの生存は確認しているがなかなか探るのも難しい。ゆえに生存しているかもわからないんだぞ。」

 事実をはっきりと村長が言う。

 「それでも僕は、僕たちは行きます!」

 ノアが覚悟を決めたように言い、レイアの方を見る。レイアの瞳からは輝が消えかけていた。

 「そんな状態の子を連れて敵の陣地に向かうというのかい?」

 村長が言う。

 「俺は……。」ノアが言いかけると「私は行きたくない。」とレイアがノアを見ながら言う。

 「なんで!俺とくーの制止を振り切ったのはレイアだよ。」

 ノアが懸命に言うもレイアはピクリとも動かない。

 「ここには何日でもいていいから二人でしっかりと考えな。」

 村長が言う。

 レイアと相談しようとするもレイアの状態を見て今はいけないと判断したノアはクーと相談をして一度デロワに帰ってぬいぐるみを売りながら長旅の疲れを癒すことにした。

レイアが少しでも前を向けることを願いながら―。

 帰り際にノアは村長に呼び出される。

 一つの地図をノアは受け取る。

 「この地図は新しい研究所だと思われる場所が記された地図だ。覚悟ができたなら行きなさい。あと、いつでも遊びにでも相談にでもきなさい。ホムンクルスのノアよ。」

 村長が言うとノアは驚く。

 「あなたからはれあの暖かさを感じる。どうかレアとアーバンさんの代わりではなくノアあなたがあなた自身でレイアに向き合ってあげて。」

 村長がノアの肩を叩きながら言うとノアが力強く頷く。

 そうして、二人はデロワへの帰路につくのであった―。

 帰って来てから数週間、レイアに代わって人見知りのノアがガイとハナに助けてもらいながら必死に接客を頑張る。

 レイアはほとんど部屋から出ないがある日、スコーンを持って丘に出かけて行った。三体のぬいぐるみたちを連れて。

 ノアは嬉しくなりその日は早めに店を閉めて丘まで後を追う。

 レイアの隣にノアが座るとレイアはノアを見て、紅茶を入れる。

 「ありがとう。」

 ノアは紅茶を受け取り、レイアにお礼を言う。少し長い沈黙が続いたがレイアが口を動かす。

 「ノア、ノアの中のお父さんとお母さんの話を聞かせて。」

 ノアの方を見ながらレイアが言うと一瞬、ノアが固まる。

 「あっ、話したくないならいいんだ。」

 少しいつもの調子に戻ったレイアが言う。

 「ううん、違うよ。その、アーバンさんの話をレイアから降られると思ってなくて……。」

 気まずそうにノアが言う。

 「なんとなく聞きたくなって急でごめんね。」

 レイアが言う。

 「ううん、どこから話そうかな。僕が生まれたときからだと長いかな。」

 ノアが悩む。

 「全部聞くから全部話して。」

 久しぶりの笑顔見せながらレイアが言うとノアが頷く。

 三年前―。

 僕が目を覚めると桃色の長い髪をふんわりさせた愛らしい顔立ちの女の人がに僕に微笑みかけた。

 この女の人がノアさんだった―。

 そして、僕は生まれたときから沢山のぬいぐるみを作った。作る度アモ博士は僕を殴りながらいつもこう言うのだった。

 「やっと成功したと思ったのにまた失敗か!何を作らせても私に歯向かう可愛げのない玩具を作りるなんて!」

 僕は何もできない。いや、そんな感情がわからないくらい心を閉ざしていた。ただ、レアさんのところに行くといつも頭を撫でてもらえた。そんなある日、アーバンさんがやって来た。アーバンさんは俺を見て言った。

 「こいつはレアがつくったのか?随分可愛いらしい男の子だな!」

 アーバンが笑いながら言うとノアが微笑む。

 「レイアといい姉弟になりそうだ。」

 アーバンはそう言うと帰り際に僕に近づく。

 「お前さんの名前はそうだな……。ノアなんてどうだ?」

 アーバンさんがそう言うとその日から僕は36番からノアになった。

 それから定期的にアーバンさんがやって来て僕にお話をしてくれたり武術を教えてくれた。でも、僕は武術はそんなに上達しなかった。

 ある日、終わりは突然やって来た―。

 いつもと同じようにぬいぐるみを作るも失敗をしてアモ博士に殴られていた。

 ただ、いつもと違うのはその日はアーバンさんが助けに来てくれた。

 アーバンさんは博士から俺を離すと俺の手を手に取り監視の目を潜り抜けながら俺を研究所の出口まで連れって行ってくれた。

 「ここをずっとぬけると海が見える海が見える丘のある町を目指して行け。そこに不思議なぬいぐるみの店がある。純粋な心の持ち主にはぬいぐるみの声が聞こえ、持ち主に幸運を運んでくれるぬいぐるみの店だ。そこで働いているのが俺とレアの娘のレイアがいるお前のお姉ちゃんであり、良き理解者になってくれる!あと、一つのお願いだ。レイアをここには近づけないでくれ。」

 アーバンがそう言うとノアが真剣な顔で頷く。

 「約束だから男と男の約束は絶対だからな!」

 そう言ってアーバンが小指を出すとノアは真似をする。そして、二人は指切りをして分かれる。

 それから、僕はアーバンさんに言われた通りになんとかデロワについたところたまたまホムンクルスが人間襲ってるのを見て咄嗟に体を動かした。そこに僕が探していた人がいた―。

 「レイア、僕はねレアさんに造られたホムンクルスなんだ。純粋な心の持ち主が声を聴けるぬいぐるみを作るために造られた……。」

 そう言ってノアの話が終わる―。

 「そうなんだね。ノア頑張ったんだね。ノアは偉いね。」

 そう言いながらレイアはノアの頭をなでる。

 「あのね、ノア私ね。ぬいぐるみの声が聞こえないの……。」

勇気をふり絞りながらレイアが言う。

 「もうみんなとお話しできないのかな。」

 レイアが涙を浮かべながら言うとノアが首を左右に振る。

 「そんな事はない。僕がいる。それにまたお話ししたいってお話しできるって純粋な気持ちでレイアが思い続ければきっと声が聞こえてくる。今もクーとミミィーとベンが応援してる。クーが負けるなって言ってる。

ミミィーがレイアの入れる紅茶の匂いすきだって言ってる。ベンは……。多分寝てる。」

 ベンに少し呆れながら懸命ににレイアを励ますとレイアが声をあげて笑う。

 「ありがとう。ノア!」

 「ありがとう。クー!」

 「ありがとう。ミミィー!」

 一人一人の顔を見ながら言う。

 「ベンもありがとう!」

 そう言いながらベンの鼻を押すと「ふがっ」と言う。そのことを伝えると笑いが起きる。

 それから数週間リハビリがてらぬいぐるみと持ちぬしが幸せになりますようにと願いを込めながら作るとレイアは次第に声が聞こえ聞こえるようになった。


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