プロローグ
初投稿です
飛び降りて死んでしまおうと考えるのは、別に、今回が初めてって訳じゃない
きっかけは本当にささいなことだった。見た目をイジられたとか、性格をバカにされたとか、そんな感じ
こんなの、いっつも言われてることなのに、今回ばかりはなぜかダメだった
体の内側にあるどろどろしたものが、あふれて外に出てきてしまった
なさけない
くやしい
何より、こんなことで泣いてしまった自分が、1番はずかしかった
「……っ」
あーあ、思い出してつらくなってきた
もうやめよう
「……っは……」
泣くなよ。何にも解決しないだろ
みじめになるだけだろうが
「……っはぁ……ぁ……」
泣くなって!!!
「……ぁ……っぐぅ……」
息がつまって、立つのもしんどくなって、思わずうずくまってしまった
本当にはずかしい
「……っはぁ……はぁ……」
呼吸を整えるために、深く息を吐いた
『楽園』のはしっこにいるせいか、息が白い
さすがにキトン一枚はよくなかったかな
「……ふぅー……」
少しおちついてきて、周りを見渡すぐらいには余裕ができた
……ここは本当に良い場所だな。ちょっと寒くて、風も強いけど、自然が豊かだし、誰もいないし
「……まあ、こんなとこ、誰も来ないか」
ふと足元を見ると、不自然に地面が途切れていて、ずっと下の方に雲が流れているのが見えた
あと一歩でも前に進めば、あの雲へまっさかさまだろう
「……」
おいおい、いまさらこわがってるのか?
何回見てきたと思ってるんだ。もう見飽きただろうに
さっさと終わらせてしまおう
「……」
一歩、ただ一歩だけでいいんだ。それだけで全部おしまい
心配しなくても、他の天使とちがって、僕には翼が片方しかない。奇跡が起こっても助かるはずがない
「……」
大丈夫、すぐ終わるさ
一瞬、本当に一瞬でいい。辛いことも何にもなくなる、最高だろ?
だから、さ。はやく
「…っぁ…」
おちゃらけて自分に言い聞かせてみても、足は驚くほど全く動かない
いや、死ぬのは別にこわくない
生きる方がよっぽどこわい
僕が死んで悲しんでくれる様なやつもいないだろうから、未練もさほどない
ただ単純に、自分の責任で何かやるのが嫌なだけなんだと思う
そんな自分が心底ダサくて、また泣いて
「……なん、でだよ……!」
目から落ちた涙が、風に揺られながらあっけなく雲へと落ちていく
なぜ、こんなにも簡単なことが出来ないのだろう
なぜ、こんなにも足が震えているのだろう
覚悟は、とっくに出来てるはずなのに
意味がわからない
「……はっ」
……結局、僕には無理なんだ
自分から何かを変える度胸がないんだ
嫌なことから、逃げることすら出来ないんだ
……だから、何も変えられない
「…ほんと、だっせぇ…」
ドンッ
「えっ」
突然、背中から大きな衝撃が来て、体が前に勢いよく放り出される
自分から飛んだんじゃない、何かに強く押されたんだ。
とっさに後ろを確認する
「あ……」
見えたのは、後ろ姿
翼が何枚か生えていて、身長は僕とおんなじぐらいで、髪は普通に白くて、
そして…
「お、ああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
いままで経験したことのない力で雲の方に引っ張られる。…つまり猛スピードで下に落っこちていく
全身が、我慢できないほどのきもちわるいふわっとした浮遊感に襲われ、自分の周りに何もないことに、足をつける地面や手で触れるものがないことにとてつもない不安と焦りを感じた
……『死』が、もうそこまで来てる感覚があった
「いやああああああああああああああああああっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
なんとかして生きる方法がないか足りないあたまでいろいろ考えてみるが、地に足がついてないこの状況では、すべてうまくいくようなナイスなアイディアはこれっぽっちも浮かばなかった
さっき死ぬのは別にこわくないとか言ったけどあれ嘘ですこわいです無理です助けて欲しいです
「あああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
そんな願いが叶うはずもなく、僕はそのまま雲へ突っ込み、
「あ…」
そのまま意識を手放した
最後まで読んでくれてありがとうございます
やる気が出たら続けます