表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自称癒士の救世感  作者: 筆工房
第一章~自称癒士の旅支度~
8/66

第六・五話:初代勇者の伝記

 この世界は一つの大陸からなる。

 外海は潮の流れが強く、気流も不安定であり、沿岸の小島を除いて陸地の存在は不明である。

 大陸内には五つの大国があり、大きな戦争こそ無かったものの、小競り合いが絶えなかった。国境線の移動は日常茶飯事であった。

 そのうちの一国がクリフィス聖王国の前身である、クリフ王国であった。


挿絵(By みてみん)


 大陸では“穢れ”の発生が起こることがあった。“穢れ”からは異形の者が姿を現し、人々に害をなした。それはいずれも小規模で、各国の一部隊で鎮圧可能であった。


 二百年前に起こった、ザンタの大惨劇までは……。


 クリフ王国の北端、ザンタ地方で巨大な“穢れ”が突如として発生した。

 その中心にいたのが異形の王、魔王であった。

 魔王は次々と眷属を生み出し、瞬く間に王国領を侵攻した。また“穢れ”自体も疫病を生み出し、人々を苦しめた。

 その非常事態に五大国は連合軍を結成し、魔王軍と相対した。しかし奮戦虚しく、僅か五年で大陸のおよそ半分が魔王の手に落ちた。クリフ王国は実質崩壊し、大陸人口は半減した。連合軍側は疲弊しきっており、全滅は時間の問題かと思われた。


 ある時、クリフ王国の王立図書館から持ち出された古文書の中に古代魔術を記した書物が発見され、うち数点は封印を厳重に施された禁書であることが判明した。大陸中から生き残った術士や賢者がかき集められ、封印解除・解読が至急で行われた。

 そして最も早く封印を解除できたのが、召喚禁術の書“グリモア”であった。中には異世界から強大な力を得た勇者を召喚するすべが書かれていた。


 異世界の住人に頼ってよいのか、現状を打破できるのか。議論もされたが、圧倒的賛成多数で召喚の儀の準備が進められた。それには皆が藁にもすがる思いであったこと、そして最も召喚に適した地脈の集中点(現グリモア城)のすぐ近くまで、魔王の軍勢が迫っていたことがあった。


挿絵(By みてみん)


 かくして召喚の儀は執行され、三人の勇者が降臨した。三人とも自身の記憶はなく、分かったのは同じ世界“チキュウ”から来たらしいことだけであった。

 たった三人で何か変わるものか、その悲観はすぐに打ち破られた。

 まず地脈に押し寄せていた魔王軍約十万を足止めし、後にグリモア砦と呼ばれる要塞建設までの時間を稼いでみせた。地の利を得た勇者達は、一週間で魔王軍を撃退させた。


 三ヶ月の準備期間を経て、勇者率いる連合軍の反攻が開始された。

 勇者の活躍は、正に万夫不当であった。連合軍は破竹の勢いで進軍し、わずか半年で魔王軍をザンタ地方へ後退させることに成功した。

 しかしザンタ地方は“穢れ”が濃く、勇者でなければ踏みいることすら困難であった。


 二ヶ月後、勇者達は帰ってきたが、無事ではなかった。勇者達は“穢れ”に充てられ、魂の形を保てなくなっていた。残された僅かな時間で、勇者達は言い残した。


 魔王を追い詰めたが、倒せなかったこと。

 地の底に封印したが、いずれ復活する可能性が高いこと。

 復活の時までに、十分な対策を練ってほしいこと。


 勇者達亡き後、四大国はすぐに動き出した。

 まず、召喚に必要なグリモア砦を最終防衛ラインとし、クリフィス一族を聖王家とするクリフィス聖王国を建国した。彼らは召喚魔術に最も優れ、今回の勇者召喚に重要な役割を果たしていた。

 次に訪れる災厄に備え、召喚士の育成やグリモア城建設、残り四国による支援体制が整えられた。

 そして、五大国による無期限の停戦協定が結ばれた。


挿絵(By みてみん)


Azgaar's Fantasy Map Generator v1.4を用いてマップ作成を行いました、

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 面白いです! この世界の歴史もちゃん作られているので、土台の設定が引き立つし、何より物語の深みを増す。 四人の召喚された勇者達もそれぞれにキャラ立ちしているのでわかりやすいし被る事がない…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ