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自称癒士の救世感  作者: 筆工房
第一章~自称癒士の旅支度~
2/66

第一話:勇者は暗澹たる世界から掬われる

 “Nommusi……Nommusi……”


 何だ、ここは。

 真っ暗だ。

 何も見えない。


 “Nommusi……Nommusi……”


 うるさい……頭に響く……。


 “Seore HDL rowt neref……”


 静かにしてくれ、疲れているんだ……。


 “Fidra eppa!!”


 その刹那、世界が黒から白に塗り変わった。


 何が起こっているのか、見当もつかない。

 周囲の突然の環境変化に目がくらんでいたのだと━━

 数秒で視えていたのだろうが━━

 脳が理解するのに随分と時間を要した。

 それは何分にも、何十分にも感じられた。


 まず見えたのは天井だった。

 教会、いや城だろうか?

 豪奢に飾られた円錐の天井は、シャンデリアの光を受けてまばゆく輝いていた。

 寝起きに近い私には、正直鬱陶しかった。


 のそりと身体を起こすと、次に見えたのは自分を取り囲む人、人、人……。

 皆が皆、仮面をつけ、フードを被り、その表情をうかがい知ることはできなかった。

 すると正面のフード達が左右に割れ、奥から女性が滑るように歩いてきた。程よく装飾された純白のドレスを身に纏い、後ろに黒服の少女を二人引き連れている。頭にはまだかすみがかかっていたが、一目で高貴な存在だと理解できた。


「あ、はじめまして、でいいんですか……?」


 久しく喋っていなかったのだろうか、えらく上ずった声が出てしまった。


「ちょっと……頭が重怠くて、今一つ理解が……」


 高貴な相手であれば、あぐらをかいて対面するのはよくないのだろう。本当に理解が追い付かない……。

 しかし一方の彼女は、さもありなんといった様子で、表情ひとつ変えずにこう言い放った。


「かまいません、それが召喚酔いですわ」


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