桜の木の記憶
碧華ファミリー達は初の家族旅行を満喫して楽しんだ。
その日の午後にはフレッドたちも合流してきた。大家族が集合した家族旅行、グラニエ城でお留守番のヴィクトリアやチャーリーともテレビ電話をつないで会話を楽しみながら、さまざまな観光地を巡ったり買い物をしたり食事をしたりと休日を楽しんだ。
碧華は帰りの飛行機の中で隣に座った栄治にたずねた。
「ねえ栄治さん、私のわがままでアトラスにきてもう二十年もすぎちゃったけど、後悔してない?」
「どうしたんだ急に?」
「ふと思ったのよ、私は今まで自分の好きなように生きてきたわ。この二十年も、あなたと結婚して専業主婦をしながら子育てをした二十年も、いつも栄治さんは私の好きなようにさせてくれたでしょ。私栄治さんにわがままばかり言っていた気がするのよ」
碧華がそういうと栄治は笑いながら言った。
「なんだそんなことを気にしていたのかい?僕はね、あの桜の木の下で君にプロポーズしたあの日の僕を褒めてあげたいとずっと思っているよ。だって、僕はずっと幸せだったからね。君とであえて人生を共に生きてこれらたんだから。君とであってから君の決断には驚かされることもあったけど、僕は君と歩んできた四十数年はすごく幸せだったよ。アトラスに来たこともそうだよ。君の決断が間違いだったなんて思ったことも後悔したことも腹を立てたこともないよ。君の笑顔を見ていられたからね。君の笑顔が僕の幸せなんだよ。君のおかげで僕は親友を二人も持つことができて、思う存分人生を楽しませてもらっているからね。アトラスにきてからは君に養ってもらったからおあいこだね。これからも君のやりたいように生きていいんだよ。僕はキミの側にいられればそれだけで幸せだから」
そういう栄治の肩に頭を持たれかけながら碧華は言った。
「ありがとう、私もよ、こんなに素敵なファミリーを持てたのは栄治さんのおかげよ、後どれだけ続いているかわかんないけど、悔いのないようにお互い楽しみましょうね」
「そうだね、世界は広いし、アトラスもまだまだいい場所はたくさんあるからね。まだまだ遊ぶよ」
「ええ、私も遊びに仕事に頑張るわ。また、行きましょうね家族旅行」
「そうだね、その為には健康第一だよ。お互いもう若くはないんだからね」
「ええ、そうね」
二人はそうして長い人生について思い出を語りあった。人生のアルバムにはいつも家族の笑顔があった。碧華は目を閉じて感謝するのだった。愛する家族に、そして、家族を見守ってくださっている神様に・・・。




