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AOKA・SKY新作制作現場披露パーティー③

会場となるコルドリアムドームはアトラスでも一番大きなドーム型の施設で普段は野球やサッカーなどスポーツ観戦のみならず、様々なアーティストのコンサートも開催されている巨大な施設だ。


今日、アトラスでも一番の人気作家であるAOKA・SKY両先生の公式ファンクラブが主催する一夜限りのパーティーのニュースはテレビでも放映され、開場前から多くの人が押し寄せて、野外特設販売所で販売予定だった用意された今まで販売された多くの種類の本は開場一時間前には全てソールドアウトとなる売れ行きだった。


それと同時に今まで付録としてつけられていたグッズなども再販されており、シャリーの写真集やチャーリーの作品を集めた本なども販売されたのだがこれらディオレス・ルイ社のホームぺージで販売されている全ての本が集結していたがこれもまたソールドアウトというすさまじい売れ行きだった。


そして熱気が最高潮に達した時、会場の中央に設置されている普段のディオレス・ルイ社の編集室を再現したセットにスポットが当たった。


すると、そこの一つのデスクに足を組んで座っていたのはカリーナだった。このパーティ―の提案者であり、AOKAの公式ファンクラブの創設者でファンナンバー第一号のカリーナ・ビモンドがスポットライトを浴びて立ち上がった。


「お集りの皆様、本日はようこそおいでくださいました。本日は我らが敬愛してやまないAOKA・SKY先生方がどのようにして素晴らしい作品を作りあげているのかをこの目で拝見させて頂こうではありませんか。本日の司会を担当させていただきます。カリーナ・ビモンドです。よろしくお願い致します。本日は碧華先生がスムーズに作業していただけるようにセットのみならず会話も全て日本語で進行させていただきますので、お配りしております、わたくしの会社が開発いたしましたイヤフォン形翻訳機を装着して、本がどのように制作されていくのかをご一緒見守っていきましょう」


その言葉に拍手が巻き起こった。


「さて、お気づきの方も多いかと思いまが、こちらにあるセットはディオレス・ルイ社の編集室を忠実に再現させて頂いております。このような現場でいつもあの素晴らしい作品の数々が誕生しているのです。では皆様ご一緒に新作が誕生する瞬間をのぞいて行きましょう」


カリーナがそう言ったかと思うとスポットが切り替わり、今までいなかったはずの席に多くのスタッフらしき人達が座ったり作業をしていた。


「あ~新作っていってもそんなに急に新し詩なんかポンポン浮かんでこないわよ~」


「誰かの愚痴が聞こえてきました。これもいつもに風景です」


「ちょっと碧華、何そんなのんきなことをいっているのよ、締切りは三時間後なのよ、間に合うの?」


スポットライトが当たった人物はテマソンだった。カリーナはそっと近づきテマソンにマイクをあてた。


「あなたはテマソン・レヴァント様ですよね、ディオレス・ルイ創業者の?」


「そうよ、今まで秘密にしてきたけれど、ここでカミングアウトね、私が絵を担当しているSKYよ」


テマソンがそういうと、そのことをしらなかったファンたちからどよめきがおこった。なぜならいつもサイン会にはAOKA一人しかいないからだ。


「これは驚きですね、ディオレス・ルイ会長自らが絵を担当していらしたのですね、ですが、あの・・・本当に新しい新作間に合うのでしょうか?」


「そうなのよ、この子ったら昔から全く変わっていないのよ、いつも始めるのは締切りのギリギリ数日前とか前日とかなのよ、もっと余裕を持って始めればいいのに」


テマソンがつぶやくと椅子に座りながら天井を仰ぎ見ていた碧華が反論を開始した。


「この際だから言わせていただきますけど、私は神様じゃないのよ、さあかけなんていわれてホイホイかけるほど天才じゃないわ。私はただのおばさんなの!。そのおばさんをだまくらかして、何も浮かんでいない状態で発売日を先に公表しちゃうのよ。普通は作品が完成してから発売日の公表をするものでしょ。我が社は逆なのよ。可哀そうでしょ、いつもかんずめ状態なのよ。今日だってそうよ。知らされたのは今日のお昼よ」


その言葉にドッと笑いが起きた。そして同時に声援が起きた。


「AOKA先生可哀そう」

「みんなありがとう。じゃあ私は帰っていいかしら?」


その言葉に会場中からブーイングが起こった。


「ええ~みんなもひどくない、私はおばあちゃんなのよ老人はいたわらなきゃ駄目なのよ」


碧華が会場中のファン相手に喧嘩を吹っかけているのをシャリーとカリーナが仲裁に入った。


「はいはい、わがままはそれまでにして、そろそろ仕事を始めないと間に合わないわよ」


シャリーの登場で会場にどっと笑いが起きた。


「そうよ碧華、あなたが詩を書いてくれないと私は絵が描けないでしょ。十分で仕上げてちょうだい」


「はあ・・・仕方ないわね、このぐらいにしてあげるわ愚痴は、じゃあ、いい事、この年寄りである私がこれから本気を出して仕事にとりかかるんですから皆様も完成した作品の宣伝をよろしくお願いしますわよ。本をどこかに捨てたり転売なんかしたら許しませんことよ」


碧華がマイク越しに会場のファンに向かっていうと歓声があがった。


「よ~し、じゃあ新作をつくるわよ~みんな覚悟はいい!」

「YES!」


いつものスタートの合図が言い放たれた。

そうして碧華はいつもの自分のデスクの上の愛用のパソコンを開くと、文字を打ち込み始めた。





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