AOKA・SKY新作制作現場披露パーティー②
それぞれが眠って幸せな夢を見ている頃、会場では準備が着々と行われていた。
そして、この日を楽しみにしていた世界各国の碧華公式ファンクラブ会員が数日前にバカンスを兼ねて家族を伴い世界中からアトラス島に集結していた。
空港もイギリスとを結ぶ海底トンネル鉄道も全て満席の状態が続いていた。それは今回のAOKA・SKY制作披露パーティーの参加者のほとんどが海外の富裕層が集結していたからだ。
その為、数人ずつ団体で数日を休暇も兼ねてアトラス島に来ていた為に結果的に全体的に多くの人が大勢押し寄せてあちこちで大混乱を引き起こしていた。
会場となったコルドリアムドームの前でも今までのAOKA・SKYの本が全て販売されるとの報道が前日に流れた為に、普段一般の書店には販売されていないレアな本を求めて、多くのアトラス人も会場に押し寄せていて、鉄道やバスも主要駅やターミナルバスから臨時便が出るほどだった。
その為、碧華達を乗せた車も渋滞に巻き込まれ、身動きができなくなってしまっていた。眠りに落ちてしまっている碧華とテマソン達を乗せた車はなんと、警察の誘導の元、会場には開場時間の二時間前というギリギリに到着するという事態になっていた。
ディオレス・ルイのスタッフたちは満員電車に乗り込み、なんとか時間内には間にあって到着していたが、会場入りしてからバタバタとリハーサルが行われた。控室で着替えを済ませ、化粧も済み準備が整った碧華は大きなあくびをした。
「ふあ~なんだかよく寝た気がするけど、あの栄養ドリンクのおかげかしら、すごく体が楽だわ」
碧華は大きく伸びをしながらのんきにいうと、着替えを済ませて碧華の控室に来たテマソンも同感だったようでスッキリした顔をしていた。
「本当だわ、車で寝ちゃうなんて初めてよ」
「こんなに車移動に時間がかかるなんて予想外でしたわ、ヘリコプターにすればよかったですわね」
カリーナの言葉に、碧華が反応した。
「そういえば私ヘリコプターにはまだ乗ったことがないわね。今度はヘリコプターから登場なんてカッコいいわね」
「そうね、じゃあ考えておくわね」
カリーナには冗談というものが通用しないようだ。碧華は慌てて訂正する羽目になった。
「カリーナ、本気にしないでね、こんな大規模なパーティ―はおばさんにはそう何回も無理よ、ボロがでちゃいそうなんだもの。それに完成しなかったらどうなるの、すごい損害賠償訴訟とか起きない?」
「大丈夫ですわ、今回はパーティ―形式なのですもの、実はね、今回制作する本を帰り際にすぐの渡すっていうのはサプライズでごく一部の人間しか知らないことなのよ。お客様へのサプライズなのよ、あくまでも普段なら絶対見れないAOKA・SKY制作現場披露パーティ―なのよ、普段どのように制作されているかを見たり、碧ちゃんと話をしたりするパーティ―なんだもの。完成なんて誰も期待してないわ」
「そんな七万人の人を満足する会話なんかできないわよ」
碧華がいうとカリーナが言った。
「大丈夫ですわよ。そのままの碧ちゃんでいてくださればね。トークで笑おうとか誰も思っていないわ。私達は純粋に碧ちゃんの詩に感動したいだけなんだから」
カリーナの言葉はほとんどのファンの想いだったようで、パーティ―が再開されると、異様なもりあがりを見せたが、誰もが、ただ純粋に愛読している作者であるAOKA・SKY両名の顔がみれるだけで満足顔だったのだ。もちろん、いつもすごい写真を披露しているシャリーの登場も大いに感動の声を上げてるのだった。
そうしていよいよ新作制作現場披露パーティーの幕が開かれた。




