その後
それから数カ月後碧華は時間をみつけて碧華は女性刑務所を訪れた。
彼女から依頼が来たからだ。
待代の目から涙が流れ、後悔の念で何度も彩奈の名前を繰り返えしており、すっかりほほはこけ別人になっていた。
その後彼女は刑務所内で離婚が成立した元夫のマンションからとってきて欲しいものがあるというのだ。その内容を聞いた碧華はテマソンと共に、彼の夫名義のマンションに、既に彼の両親が住みついているマンションに再び訪れ彼女から頼まれて宝物を捜しに訪れた。最初は拒否されたが迷惑料として金品を差し出すとすんなり中に入れてくれた。
見るも無残に荒れ果てているマンションの中に足を踏みいれ、押し入れの奥に張り付けられていた一枚の封筒を取り出した。何かを確認するとそこには、愛しいそうに抱きしめている母の姿と赤ちゃんが写っていた。
待代にとっての宝物である。二人の娘を生んだ時に撮影した二枚の写真だった。
時間の経過と共に歪んでしまった母としての愛、碧華はその二枚の写真だけを持ち出し、刑務所の彼女に渡した。
それから数日後再び刑務所から碧華が面会の時に手渡した封筒に書かれていたディオレス・ルイの住所宛に一枚の手紙が送られてきた。
そこには最初で最後の母親からの愛情のこもった懺悔の言葉が書かれた手紙が入っており、自分が手放してしまった宝物の二人の娘の幸せを願う内容の手紙を娘に渡して欲しいと碧華がが持ち帰った二枚の写真が同封されていた。
碧華はそのまま、彩奈宛にその手紙を転送した。すると彼女からお礼の手紙と母親宛の手紙が同封されていた。
碧華はその封筒を刑務所の彼女に渡してあげると、涙を流しながらお礼を言っていた。そこに書かれていたのは、許すことは今はできないけれど、産んでくれてありがとうと書かれた手紙が添えられていたのだ。
そして、父親と妹と彩奈が笑いながら写っている写真も同封されていた。待代は手放してしまったもののあまりにも大切で大きい宝物を思い、ただただ涙するのだった。
その後碧華のもとに届けられる近況報告には、彩奈は父の勤務先であるニューヨークに妹のシャランとそして祖母の三人で渡米し、一から勉強をし直し数年かけて高校にも入り直し、なんと大学も卒業し、最愛の人と結婚をしたという嬉しい報告が舞い込んできていた。
それから十年後、アトラスの空港に成長した二人の女性と初老の男性の姿があった。そこにはその三人を出迎えるように歳をとり白髪が混じった女性が出迎えていた。




