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英雄と呼ばれた男  作者: 里芋
2/2

少年時代

「アレン、朝ご飯出来たわよ」

母マリアの声が二階の自室に響く。

アレンは返事をして読みかけの本を閉じ階段を降りて行った。

今年で10歳になったアレンは生まれてからずっとヒポポ村と呼ばれる小さな農村に暮らしている。

人口は100人ほどの小さな村で、皆が家族のように暮らしている。


現在、覇権国家である北に位置するハンザ帝国をはじめ、西のロディー王国、東のモノモタパ王国、南のアクスム王国の4大国が存在する。

ヒポポ村はアクスム王国の南西に位置していた。


「ご馳走様でした。」

アレンは朝食を済ませると再び本に熱中する。


何も無い村でのアレンにとっての楽しみは本だった。幸いにもアレンの家には父マイクが学者だった事もあり本が豊富にあった。

父の本の殆どは哲学書だったが、アレンは父の専攻であるプラグマティズム的な考え方を信条といるようになっていった。

また一方で、純粋な子供らしく英雄の冒険譚にも心を奪われていた。


そんな本の虫とも言うべきアレンの将来の夢は、誰よりも強く、誰よりも自由に、という理念のもと冒険者になろうとしていた。


この世界にはレベルという概念が存在する。

アレンが憧れていた英雄譚の人々はレベル100を超えるという。一般的な成人男性のレベルが2、3なのだから、100というのがどれ程のものなのかは想像が出来ない。しかし、子供ならではの根拠のない自信のもとアレンはレベル100を目指そうとするのであった。


アレンの日常は午前は読書、午後は剣術、魔法の訓練、というものだった。人口の少ない村ではアレンと同年代の子供はおらず、常にアレンは1人だった。しかし、アレンには愛情を注いでくれる両親や村の人々がおり、寂しさを感じることは無かった。

むしろ、アレンにとって自分の成長にのみ時間を注げる環境は良かったとさえ思える程だった。


アレンはいつものように読書をしていると、ふと思った。「いつからレベルを上げられるのだろう。」

いつも両親に相談しても大人になってからで良いと言われていた。

レベルを上げる事でステータスという自身の能力を数値化し可視化したものが変化する。

一般的に15歳で成人を迎える時、成人式で自分のステータスを見られる様になるらしい。

だからこそ15歳からレベルを上げたければ上げるというのが世界の常識らしい。勿論、殆どの者はレベルを上げたりはしない、レベルを上げるのは騎士や警察、冒険者、そして旅をする商人ぐらいだ。

町や、村の中で生活する以上、危険は存在しないと考えている。

これも、ここ数十年戦争を経験していない、いわば平和ボケなのかもしれない。


レベルを上げるには魔物を倒さなければならない。

ただ単に訓練をしているだけではステータスに変化はあれどもレベルを上げる事は出来ない。かと言って村の中には当然魔物なんていない。村には結界が張られており、魔物を寄せ付けない。基本的には村の外には出ない村民達にとって魔物と戦う機会はない。外には出る際も魔物除け道具を使用するし、冒険者や警護を依頼する。


「王都に剣術や魔法のみならず、実際に魔物を討伐する訓練をする学校があるらしいけれど、基本的には15歳からだもんな。」

頭を捻るアレンはなかなか良い発想が出さずにいた。


そんな日の晩に父マイクから朗報があった。




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