8話 町に入る
一応2章です
俺たちは道に出た。
そして、王都を目指して歩みを進めた。
まぁ王都はここからかなり離れているので、何個かの町や村を通らなければならないのだが、まぁそんなわけで俺たちはアンスという街を目指していた。そこはミエルド魔導国でも3番目くらいに栄えてる都市で、ダンジョンがあるそうだ。ナーシャもこの街を拠点として活動していたらしいので、一応そこにいる。ちなみにだが、ナーシャは冒険者として活動するときは普段の大人エルフ状態になり、仮面をかぶって行動していたようだ。Sランク冒険者となると一国の英雄みたいな扱いになるので、普通のSランク冒険者は顔が知られているようだ。私生活では女子高生くらいの年齢の格好をしているらしい。
俺たちはアンスに向かうことにした。案外アンスは国境の近くにあった。なんでも神聖マーチ帝国が何度もミエルド魔導国を侵略しようとする理由にこのダンジョンがあった。世界にもダンジョンというものはあまりなく、このダンジョンは、世界最大規模らしくそこから得られる恩恵は膨大だ。この街は自治都市になっていて、治めているのはある二つの家だそうで、サントス家と若林家だそうだ。ずいぶん前の勇者の家とその仲間の家だそうだ。サントス家の先祖は大賢者と呼ばれ、勇者とともに魔王を打ち滅ぼした英雄のような存在の末裔たちで、若林家はその勇者の末裔らしい。そんなわけで昔は同じパーティで魔王討伐とかまでしていたのに、今となってはこの街の影響力をどちらが得られるかと対立している。
聞いてはいたのだが、思った以上に近かった
俺たちはこの街の門の前にいる。モンスターから街を守るためにそれなりに高い壁で街は囲まれていて、中央には途方もなく高い塔がある。あれだけ高いんだから風邪とかで折れてしまいそうだ。まぁ異世界だからありえるのだろうと判断した。
そして、あまり列になっていない門番のところに行く。もちろんナーシャは仮面をつけた大人状態だ。俺とヴェルディは隠蔽をかけている。
そうして近づいていくと、門番が
「ナーシャ様、お戻りになられたのですね」
「ああ」
「あぁ。そういえばこの近くで古龍を見たっていう人がいましてね。見間違いかもしれませんが、依頼が行くかもしれません」
「あぁ、わかった」
門番は快く入れてくれた。案外この人たちとは付き合いが長いようだ。外見は若そうなのにね。
そう。今思い出したのだが、ちょっと前にナーシャと喧嘩をした。実際は一方的に叱ったのだが、
俺が初めに倒したモンスター。キンググリズリーなのだが、ナーシャが本気でやれば瞬殺できたらしい。なんでも俺の実践訓練だったらしい。こっちはひどい傷を負ったのに!
それを聞いた時はかなり怒った。俺としては体を失うかもしれないのにナーシャを庇ったというのに、本当は楽々対処できたというんだぞ。
それなりにきつく言ったのだが、ナーシャはおとなしく反省していた。
あともう一つ、《隠蔽 極》っていうのは自分の存在を隠蔽できるらしい。《鑑定 極》があれば見つけることはできるのだが、常日頃から鑑定を使っているわけではないので、基本的には見つからない。ナーシャはそれでギルドと家を行き来していたらしい。
というわけで、門をくぐらせてもらったところで隠蔽を自分達にかけた。そして、ホテルに向かった。ナーシャは神聖マーチ帝国に向かうときに家とかを売ってしまったらしい。
なので、ホテルに向かう。ナーシャが冒険者になってそれなりに有名になりつつあったときに使っていた場所だそうだ。白鳥の宿というところらしい。
ナーシャに案内してもらっていくと。
ちなみに今は子供状態だ。
中に入るとすぐに、優しそうなちょっと太ったおばちゃんが話しかけてきた。
「あらー、マーシャちゃん。久しぶりね。家も売って他国に行くって言ってたけど男連れて帰ってきたのー」
「いえいえ、知り合いの子供を預かってるんですよ。ちょっと彼の両親が..」
「あー、悪いこと聞いちゃったね。部屋はどうする?」
「じゃあ二人部屋と一人部屋で」
とナーシャは答えた
「じゃあ24と25で、ご飯は朝と夕方ね。料金は一泊8銀貨だよ」
「10日で」と言って金貨を8枚置く。
そうすると二つの鍵をくれた。この宿は二階建てで一階に食堂があった。
まぁ階段を登って二階に向かいながら。
「誰と誰が二人部屋にする?」
「もちろん私とアキラ様ですよ」
とナーシャが言う。
「いえいえ。私とアキラ様ですよ」
とヴェルディが言う。
「ナーシャもヴェルディもそんなに気を使わなくていいよ。女二人の方が気が楽でしょ」
「今はマーシャです。でもこれだけは譲れません。私は晶様と同じ部屋にします」
「なんでそんなに拘るかなー?別に怪しいことしないよ」と答えながら一人部屋のドアノブを掴んだ。
「そんなことは関係ありません!!」
と言いながら俺の手の上に手を置き、強引に入れないようにされた。
「仕方ないなー、まぁいいよ。ちょっと出かけるかもしれないけどね」
「ありがとうございます」
結局ナーシャと同じ部屋になった。ちなみにヴェルディはナーシャに一人部屋にぶち込まれていた。
ナーシャ強いからね。
まぁスキルとかを使えば俺の方が強いのだが、仲間に暴力を振るうのはいささか問題があると思っているので、そんなことはしない。格闘のスキルは所持しているだけで使い方がわかるので俺もナーシャと同じようにできる。まぁ経験の差で技術はあちらの方が上なのだが、でも身体能力が上がるのでおそらく勝てるだろう。いやでも負けるかもしれない。ナーシャだから変な体術とか身につけててもおかしくないからね、さらにいえばレベルが圧倒的に違うだろうからね。
そんなわけで宿に入って荷物を置いた。