7話 移動
俺たちのいる位置についてジーンに聞いてみた。
そうすると、ここは神聖マーチ国とミエルド魔導国の間に広がっているリザルト森林というらしい。あの火山の上には火の龍王がいると言われている。まぁ龍王クラスになるとリザードマンの集落を攻めてきたりはしないらしい。ちなみに龍にも自我があるらしく、ファイヤードラゴンにもあったそうだ。まぁワイバーンにはないようだけどね。
龍王がいるのでまず人間はこの森に来ないらしい。龍王が人間を嫌っているそうだ。
だから龍やドラゴンが攻撃してくるらしい。
ちょっと待った。なぜ俺たちは攻撃されない?もしかしてこれは仲良くしたいのかな?
いやいや。そんなギャンブルに出て死んだらシャレになんないよ。
ということで一応この集落から出ることにした。
俺たちが集落を出る時にヴェルディのことを見て軽蔑するような目をしている輩が多くいた。チラッとヴェルディの事を見るととても思いつめた顔をしていた。
おれは彼女の顔を見ずに肩を軽く叩き、
「人のことなんて気にしなくていいぞ。少なくともおれはお前のことを変なやつだなんて思わないからな」
というとヴェルディの顔も明るくなってきた。俺たちは大勢のリザーマンたちに見守られながら村を出た。
「ヴェルディ、俺たちについて説明しようと思う。これについて絶対に口外しないと誓えるか?」
「はい!」
「おれは異界から来た勇者だ。まぁ今は追われる身だがな..それでなんだが、おれのスキルはいろいろあって《捕食者》っていう食べたもののスキルを得るっていうのと《超再生》っていうのが主だ。他にも捕食者のおかげでアホみたいにスキルはあるがな、ということなので、」
「えーっ!そんなスキルあっていいんですか?ダメですよね!バランスが崩れますよ」
「ということなので、君の一部を食べさせてくれないか?何かしらスキルを持ってるだろ。いや待てよ。鑑定があったな」
ヴェルディ レベル9
【スキル】《龍化 種族ドラゴニュート》《ブレス 種族ドラゴニュート》《咆哮種族ドラゴニュート》《飢餓耐性 極》
《飛行 種族ドラゴニュート》
【称号】《龍王の子》
「いやいや。龍王の子ってダメだろ。完全にやばいやつじゃないか。面倒ごとに巻き込まれるぞー」
「あのー、一部ってどこですか?」
「髪とか?汗とか?まぁなんでもいいよ」
というといきなりキスをしてきた。少し驚いてしまったが、美少女にディープキスをされて少し喜んでしまった。
「な!なっ!何をしてるんですか?」
とナーシャが驚いていう
ヴェルディは口を離してしまった。ガビーーン。
「唾液をあげてるんですよ。スキル譲渡のために」
「淫乱女」
とナーシャが言ったとき、馬鹿でかい咆哮が聞こえてきた。
俺たちは咄嗟に木の裏にいく。
そうすると一人の男性が歩いてきた。
「よくも。よくも我が娘に....殺す」
と言っていた。
鑑定してみた。
エンディー レベル???
【スキル】《咆哮 種族龍王》《ブレス 種族龍王》《炎魔法 種族龍王》《炎耐性 種族龍王》
《龍統率 種族龍王》
【称号】 《龍王》《国落とし》
「ヴェルディのお父様ですか?」
「そうだ。お前はヴェルディに淫乱なことを強要してー、死ね」
と言ってとんでもなく大きい火のたまを作り始めた。おれの異世界ライフもこれまでかぁーと思っていた矢先に
「お父様!!なんてことをしようとしてるの!?なんで晶様にそんなことを!強要なんてされてないわよ!わたしのことを押し出しておいてどの口が言うの!おとうさまなんて嫌い。もう龍なんて消えればいいんだ!」
とヴェルディが叫んだ。
「我は追い出してなどいないぞ」
「うそだ。今だってこうやって私たちを攻撃してくるし、サーガが言ってたもの。お前みたいなまがいものの龍がいるせいで龍王様がどれだけ困っているか、わかっているのか!?って、だからわたしはあの山から出たのにファイヤードラゴンとかでわたしのことを大切にしてくれたパパやママも殺すし、もう信じられない。あのファイヤードラゴンだってわたしを殺すために出したんでしょ。最悪よ!そんな嫌がらせしておいて今更何?ふざけないでよ。また晶様達を殺したりするの!?」
「いや。そんなつもりはなかったのだ。サーガの野郎がそんなことを言っているなんて知らなかったし、ヴェルディを探しに出したはずのファイヤードラゴンがそんなことをしていたなんて、すまん。本当にすまん」
と言って炎を消し始めた。
ヴェルディは涙で顔をぐちゃぐちゃになっていた。
「ほんとぅ?」
「ほんとだよ。許してくれ。すまんなヴェルディ。この通りだ」
と言って龍王ともあろうものが土下座をした。
「ウゥン仕方ないな。お父さんを信じるよ。たまには帰省したりするけど、極力近寄らないようにする。わたしは晶様と旅に出るから」
「そんな小僧とっ!!」
「お父さん!!」
「わかった。でもたまには帰ってくるのだぞ。晶殿もすまんな。勝手に攻撃しようとして、こんなにヴェルディが信用しているものに対して失礼じゃった。何か要望はないか?」
「鱗を一つくれませんかね?随分前に剥がれたやつでもいいので」
「ああ。そんなことでいいのか。ほれ」
と言って龍王の姿になり、いきなりアホみたいにでかくなった。そして、口で数枚の鱗を取ってくれた。そこまで痛くなさそうだった。
「ありがとございます」
「なぁ一度戻ってこないか?」
とエンディーが言う。
「流石にサーガとかには会いたくないよ」
「わかった。落ち着いたらでいい。1年に一度くらい顔を見せてくれるだけでいいのだ。頼むぞ。本当にだぞ。絶対だからな」
と言って飛んで帰っていった。
「あっという間だったな。あれが龍王かー。おれには親バカにしか見えないなったな。
......って言うかこの世界の人は大した用もないのに来て、ちょっと話したら逃げる奴が多いのか?」最後の方はほぼ独り言の声量になっていた
「わたしもそう思う」
「そういえば。晶様もちゃっかりとお父様のスキルを持って行きましたね」
「でもどうやって食べるの?」
「いやいや。スラちゃんからもらった吸収を使うよ」といって吸収する。
スキルが増えた。さらにいえばあの鱗はアホみたいに硬いから戦闘にも使えそうだ。
おれはヴェルディからもらった龍化のスキルを使ってみた。自分のステータスを確認すると。
海堂 晶 レベル21 (古龍)
《捕食者 神》《超再生 神》《格闘術 上》《鑑定 極》《身体能力増加 上》《超音波 種族コウモリ》《分身 種族スライム》《吸収 種族スライム》《擬態 種族スライム》《槍術 上》《身体能力増加 中》《龍化 種族ドラゴニュート》《飢餓耐性 極》《咆哮 種族龍王》《ブレス 種族龍王》《炎魔法 種族龍王》《炎耐性 種族龍王》
《龍統率 種族龍王》
【称号】《神クラス》《異端の勇者》《▪️▪️▪️》《ドラゴンスレイヤー》
《古龍》
うん。(古龍)って俺今古龍なの?
「晶様!!古龍になられたのですね!すごいです!!」
とナーシャが褒めてくれた。
俺人間やめちゃったのかー?
いや、でも人間にもなれるんだから人間でいいよね。
「みんな一旦俺の背中に乗って」
ナーシャは喜んで乗ってきていたが、ヴェルディは渋々っていう感じだ。やっぱり少し嫌なのだろうか?
村長に教わった方向に飛んでいく。一応それなりに高い位置を飛んだ。でもナーシャは平気そうだった。ちょっと地球とは違うようだ。
俺が飛んでいると、それなりに大きな道があったのでそこから1キロくらい離れた位置に降りる。
そこからはゆっくり歩いて、大きな道に出た。