新しいスキル
俺たちは熊を血抜きして、皮を剥ぎ火を起こしてその肉を焼いた。日本で食べた肉よりも圧倒的に美味しかった。ただ焼いただけなのに。お互いに一口食べた後、
「ナーシャ、なんか体に違和感があるんだけど...」
「えースキル欄に《捕食者 神》とありますよ。捕食者ってなんですか?聞いたこともないですよ!さらに、《身体能力増加 中》もあります!これさっきの熊が持っていたスキルですよ!」
「まぁまぁ落ち着いて。《捕食者》っていうのは、食べた相手のスキルを奪えるとかいう能力かな?一部食べた時から違和感があったんだよね」
「取り乱してすいません。おそらくそうだと思います」
「ちょっと試してみていい?ナーシャの一部を食べさせてくれないかな?髪とか?」
「はい!晶様のためなら喜んで!」
と言って髪の毛を手刀で切り俺に渡してきた
「あーほんとごめんね」と一言断ってから彼女の髪の毛を食べる。自分の髪が男の人に食べられ、笑っている美女にそれを食べる男。
なかなかシュールではないだろうか?
「おお、やはりスキルが増えてますよ!《鑑定 極》と《格闘術 上》が!」
「《格闘術 上》なんて持ってたの!?」
「あっはい。言ってませんでしたっけ」
「まぁいいや。前から思ってたんだけどスキルの右にあるらしい極とか上とか中ってどうやったら変わるの?」
「あー、じゃあスキルについて説明しますね。まずふつうの人はいくつかのスキルを生まれた時点で持っています。それを使いまくればその性能が上がっていくよ、みたいな感じです。一番したが下、順番に中、上、極となって晶様はその上のであろう神となっています。極にするのでも相当大変ですけどね」
「なるほどー」
「あーでも勇者は途中からスキルを得ることがあるって聞いたことがありますよ」
「まぁ新しく手に入れたスキルは精々中までしか上がらないと書いてありましたがね。普通の人はみんな下であの世に行きますよ、まぁ鑑定とかの便利スキルは鑑定をする事でお金が取れるので、極なることもあるそうですね。私は街にいる人を片っ端から鑑定していきました。かなり大変だったんですよ!」
「なんか、すまないな」
「晶様が謝る必要はありません」
「なぁそういえば、お前はなんで創造神を信仰してるんだ?ちょっとデリカシーないかもしれないけど、」
「うー...」
「いやだったら別に答えなくてもいいぞ」
「いいえ、晶様には話します。私って本当はエルフなんですよ」と言って彼女はいつもつけていたネックレスを外す。
そうすると彼女の耳は長くなり、今よりもっと色気が感じられた。一応変装していた頃の面影が残っている。変装は彼女を幼くしたような姿だった。
「まぁこのネックレスで自分の姿を幼くしてたんですよ...エルフって耳が長くなるのは20歳くらいからですから。話を戻しましょう。結論から言うと私は一代前の勇者に救われたんですよ。エルフの里が魔物に襲われていた時に助けてくれたんです...まぁ私以外の人は死んでいましたがね。それで、勇者の紹介で
エーテル教の孤児院に預けられました。そこで全てがなくなった私は自暴自棄になっていろんな悪さをしていました。それでもみんなとても優しくしてくれました。そして、私はあの勇者様がエーテル様のお陰でこの世界にこれだと知り、勇者様、ひいてはエーテル様の信者になったんです。それで、次の代の勇者様をお手伝いするために城でメイドをしていました。あー、すいませんでした。こんな話するべきじゃないですよね」
と言いつつも当時の悲しみや喜びを思い出して、泣きそうになっていた。
「いや、たまには感情を吐き出すのもいいと思いますよ、いつでも話聞きますので」
「あ、ありがとございます....」
それから彼女が固い地面で寝るのを待ち、俺も眠りについた。
俺はただ何もない草原にいた。そこにひとりの少女がいる。
「君は誰?」と聞いてみた。
「あーもう。そんなこともわからないの?エーテルだよ」
「あー、創造神様ね。こんな幼いんだ」
「もう!神様に向かって何言ってるの!?」
「まぁまぁ。でここはどこ?」
「君の夢の中。僕が君に用事があって読んだんだよ。その様子じゃあ覚えてないようだけどね」
「ん?何をだ?」
「今のことは忘れて。いずれ分かるから。」
「でなんで俺に種なんであげたの?」
「君の前々世に関係があるんだよ。今のヒントだからね。あぁもうすぐ時間になっちゃうね。バイバイ」
海堂 晶 レベル13 ヒューマー
【スキル】 《捕食者 神》《超再生 神》《格闘術 上》《鑑定 極》《身体能力増加 中》
【称号】 《神クラス》《異端の勇者》《▪️▪️▪️》