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兄妹は錬金術師  作者: 五月雨誠二
1/1

プロローグ~帰ってきた先生~

 

 季節は春。植物たちが暖かさを感じ、芽吹く時期である。まだ所々残雪があるこのベルフォートという国のクレインという小さな町にとある兄妹がいた。

 「ねぇー。待ってよお兄ちゃん!」

 兄と呼ばれた少年はため息をつき、やれやれという顔をした。

 「待ってって・・・・・・お前なぁ・・・・・・今日は祭りなんだぞ、早く行かないとなくなっちまう」

 その祭りというのは春を祝う祭りなのである。祭りは3日間行われ、この日は町の外からも大勢の人々が来るので稼ぎ時でもある。

 路地の角を曲がったその時、人にぶつかってしまった。

 ドンッ!!!

 「おぅわ!」

 少年はぶつかった反動で尻もちをついてしまった。

 「いたたたた・・・・・・あ、大丈夫ですか?」

 ぶつかった相手に少年はそう言った。コートにポークパイハットを被った相手は少年の顔をチラッと見るなり

 「君は・・・・・・エルヴィンか?」

 と、少年の名前を言い当ててしまった。少年は驚いた顔をしたが、すぐにニッと笑い

 「先生、お久しぶりです。」

 と言った。その先生と呼ばれた女性もにこやかに笑った。

 「うん、久しぶりだね。2年ぶりかな?にしても大きくなったなぁ・・・・・・2年というのは長いようで短かったね。ところで、エレオノーラは?」

 「あぁ妹でしたら今そこに・・・・・・」

 エルヴィンは先生の手を借り立ち上がった。その時、妹のエレオノーラが角を曲がって顔を出した。

 「もぅ、お兄ちゃんったらそんなに急いで角を曲がったら危ないよー?って・・・・・・先生!?」

 「やぁ久しぶり。大きくなったな。しかしそこは成長していないようだが・・・・・・っと」

 そういうと先生はエレオノーラの胸をまさぐり始めた。

 「きゃあ!な、何するんですか!やめてください!」

 必死に抵抗するエレオノーラの胸をまさぐった後、胸から手を離した先生は

 やっぱり成長していないようだ・・・・・・

 と、ボソッと言った。いやなんでアンタがそれを知ってるんだよ。

 「ところで先生、祭りは行かないんですか?」

 「ん?あぁそれで騒がしかったのか。おかげで馬車が2時間遅れたよ。祭りは興味がないから君たちだけで行ってきなさい。私は貴方たちの親と話をしてくるから。」

 笑いながら先生はそう言って金貨2枚ー20,000エールをエレオノーラに渡して去っていった。

 「相変わらずだな・・・・・・先生は」

 そう思いつつ兄妹は祭り会場となっている町の中心地に走っていった。


 流石に年に一度の祭りとだけあって人でごった返している。普段はこじんまりとしている店も大きく扉を開けて客寄せをしている。

 此処、中央広場には中央に女神『オルテンシア』の銅像とそれを取り囲むように噴水がある。そしてそれをまた取り囲むように店が並んでいるのだ。

 祭りは夜になっても行われる。ただし、月が天の頂点に昇ったらその日は終わりとなり、太陽が顔を見せるまで休む事になっている。

 そして俺たち兄妹は月が顔を見せるまで遊び、家に帰った。

 「「ただいまー」」

 すると奥の方から

 「おかえりなさい」

 と言いながらお母さんがタオルで手を拭きながら玄関に来た。

 「お祭り凄かったでしょう。明日も行ってきなさい。」

 笑顔でお母さんが行った。しかし、奥の方から

 「いや、明日は私と一緒に素材集めに行こう。倉庫を見てきたが空じゃないか。錬金術師としての自覚はあるのか?」

 と、先生が玄関に歩きながら言ってきた。するとお母さんが

 「あらルナさん。今日はもう遅いんですから泊まれば良いのに・・・・・・」

 「いえ、私の家は近いので帰ります。なにより掃除しないといけないので・・・・・・とにかくだ。明日は私と一緒に素材集めに行こう。いいね?」

 俺たちは、はいとしか返事が出来なかった。先生はああなると意固地である。普段はいい先生なのになぁ。

 先生は町の外れにある家に帰っていった。そして俺たちは明日に備え寝ることにした・・・・・・


 

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