3話目大鬼の酒樽
「着きましたよー!」
「・・・」
結局時の神がごり押して、酒場についてしまった。にしても店名が、大鬼の酒樽て・・・
「・・・にしても荒れてるわね。ここ」
そこらじゅうから笑い声や、瓶が飛ぶ音が聞こえる。
「まぁ良いんじゃないですか?あちらから絡む方が少ないですし」
と言った瞬間。
ガシャァン!
飛んできた瓶が見事時の神の後頭部に直撃した。
「オイゴルァ!何、人に瓶投げてんだよ!オイ!」
「うっせーぞ!てめぇが飛んできた方向に居るのが悪いんだろ!」
喧嘩が始まった。面倒臭いから置いてこうかなと思ってたら
「おいそこの嬢ちゃん」
声が聞こえた。声色からして女性?
「何かしら?」
そう答えると居たのは、一人の少女だった。
「・・・」
「・・・?」
「何でここに一人で?おとーさんか、おかーさんは居る?」
そう問うと
「馬鹿にするな~!これでも相当長生きしてるわ」
そう答え頬を膨らませている。可愛い。
「・・・」
正直信じられない。すると
「見た目だけで判断しちゃいけませんよこの世界では」
時の神が帰ってきた。後ろでは先ほど瓶を投げた男が倒れている。
「どういうこと?」
明らかに目の前の子は、完全に少女にしか見えない。
「ああ見えて、軽く2万年?もっとですかね?それぐらい生きてるBBAですよ(笑)」
・・・何それ怖い。よくある不死身的な奴?
「誰がBBAだ、紙(笑)」
そう言うと
「誰が紙だ。表出ろ(激怒)」
時の神がぶちギレた。後が面倒そうだ。そんなとき
「二人とも落ち着いて」
違う声が聞こえた。見てみると、杖を持った人(?)が居た。すると少女(仮)が
「あ、使い魔」
そう言った・・・使い魔?時の神も
「使い魔さん。お久しぶりです」
そう言った。すると
「挨拶は置いといてその後ろの方は、知り合いですか?」
そう聞いてきた。
「あぁあの人は私の知り合いです。人間で英霊使いの方ですよ」
「英霊使い・・・ですかこれは、珍しい。にしても時の神が人間しかも定命のの者と旅をするとは」
使い魔は、そう言い私を見た。
「・・・お嬢さん?お名前は?」
使い魔は、名前を聞いてきた。
「琴羽根 律と言います」
素直に答えると
「琴羽根律・・・まさか琴羽根京子の娘?」
そう言った。琴羽根京子とは私の母親だ。数年前に突如行方がわからなくなったが。
「どうして母親の名前を?」
「その反応はやはりそうですか」
使い魔は、悲しそうな顔でそう言った。そして
「残念ですが琴羽根京子さんは・・・亡くなられました」
そう言った。
「亡くなった?」
正直、悲しい訳ではなかった。別に私が薄情者だった訳ではない。私は、母を余り好きではなかったからだ。自分勝手で気に入らないことがあると私に八つ当たりをし怒鳴り散らした。そんな母親を愛せと言う方が無理だ。
「・・・悲しくないのか?」
少女(仮)がそう私に聞いてきた。
「はい」
私は即答した。
「・・・そうか」
少女(仮)が、少しだけ寂しそうだった。そんな気がした。